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営業変革「Sales Enablement」とは

顧客関係性レベルから考える「アカウントプラン」の進化──法人営業の成否を分ける「認知の変化」とは

第5回(最終回)

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重要顧客との「関係構築ループ」が法人営業の成否を分ける

 お客様との関係性を構築する。これは特に新しい考え方ではありません。関係性マーケティング、あるいはリレーションシップ・マーケティングとも呼ばれており、半ば常識化した営業戦略の一つになっているといえます。

 法人営業においては、売上の上位を占める重要なお客様に対して「深く」「長く」「広く(網羅的な)」、組織対組織での関係を構築し、長期的に信頼されるパートナーとなることが、競合会社の参入を防ぎ、安定的に収益を上げるための盤石な方法です。重要顧客との長期的な取引がより良い収益をもたらします。

 しかし、関係性の構築といいますが、いったい何をもってそれができているといえるのでしょうか。関係構築といっても、実情はただ案件を追いかけているだけではないのか、というのが私の問題認識です。

 そこで、重要顧客への戦略を立案・管理しているアカウントプランに注目してみました。アカウントプランという名称でなくても、今は多くの企業で重要顧客に対する戦略計画というものをまとめられていると思います。

 その内容を見ると、業種・業態によって多少のバラツキはありますが、骨組みの基本はほぼ共通しています。「アカウント状況評価→戦略立案→行動計画」という3ステップをPDCAで回していくという仕組みです。これは非常に合理的であるといえます。なぜならば、診断、戦略、アクションという戦略立案のシンプルステップがきちんと踏襲されているからです。

 しかし、私が疑問に感じたのは、戦略の中身です。何をいつまでに売るという提案戦略になっているのがほとんどでした。つまり、関係構築についてどこにも書かれていないのです。

 さらに、アカウントプランが実際に営業の現場で活用されているのか、という問題もあります。ある企業でアカウントプランの作成を推進する部門のマネジャーが、私たちにこんなことを言いました。

日常は顕在化した案件への対応に追われており、プラン通りには活動できていない。日々変化していく市場において、中期的なアカウントプランは非現実的な作文であると現場は認識している

 つまり、アカウントプランが形骸化しているのではないかということです。

 こうした現状から言えることは何か。結局、関係構築の活動というのは、案件対応のループをクルクルと回し続けることで関係性を構築している気になっているのではないでしょうか。とにかく案件を追いかけていれば、上司から褒められる。業績達成へのプレッシャーがあることも、その背景要因となっています。そこで案件対応とは別に、関係構築のループを独立して立案・実行・管理していくことが重要であると考えます。

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この記事の著者

牧 満(マキ ミツル)

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