無数の“もしも”が存在する環境で、AIの「予測技術」を活用する──自動運転や通訳、人事にも起こる変化とは
「予測」のコストが下がった場合、「計算」コストが下がった時と同様、今まで「予測」を使おうとは考えていなかった場面で「予測」が使われることになる。アグラワル氏はその点に注目している。
アグラワル氏が例としてあげたのはこんなことだ。今まで、車などの自動運転は、制御された環境の中で「もしも○○だったら××せよ」というルールを多数プログラミングして行うものだった。工場内やラボ内といった制御された環境の中ではそういったルールは適応しやすい、しかし、街中では無数の「もしも」が発生する。プログラマーを多数雇っても、その全てのルールのためのプログラミングを書くことはできない。そのため、研究者のなかには数年前までは「我々が生きている間には街中で自動運転を見ることはできないでしょう」と言っている人もいた。