「第三の創業」の中核に新規事業を置く、JTBの意図
──2018年4月、JTBグループの経営体制再編がスタートしました。髙橋社長は「第三の創業」と明言されています。その目的、組織体制などを教えてください。
株式会社JTB 経営戦略本部 経営戦略担当部長 川本未央氏(以下、敬称略):2006年から続けてきた地域別・機能別の事業会社15社による経営体制を、株式会社JTBに一本化・統合しました。あわせて「個人」「法人」「グローバル」という3つのビジネスユニットを軸に新たな執行体制に移行しました。
デジタルテクノロジーなどに起因する今までにない事業環境の変化に対応すべく、お客さまに近いビジネスユニットにすることで、意思決定の迅速化をはかり、新しいビジネスを創出することが目的です。2018年4月からの5ヵ年で、従来の旅行を中心としたビジネスから新規事業も含めたソリューションビジネスが利益ベースで過半になるような構造転換を目指しています。
──JTBは旅行業というイメージですが、「ソリューションモデルへの変化」とは、どのようなビジネスへの変化を目指されているのでしょうか。
川本:これまでは様々な旅行商材(交通や宿泊など)を仕入れ、商品化・パッケージ化し、店舗やWebサイトなど様々なチャネルを通じてお客様にお届けすることを中心に事業展開してきました。今後は我々の事業ドメインである「交流創造事業」という言葉にもあるとおり、自ら「交流」を創造することで、個人や法人、社会や国が抱える課題を解決していくこと、つまりソリューションを提供していくことを目指しています。
当社は個人向け事業の印象が強いですが、同時に法人のお客様との関係性も深く、我々の大きな強みでもあります。加えてツーリズム関連事業者や自治体、当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人であるDMOとの接点も幅広く、ネットワークも強固ですので、これらのお客様に対するソリューション提供も強化していきたいと考えています。
──2018年からの5ヵ年の中期経営計画では、1.成長領域・新規事業開発、2.デジタル・トランスフォーメーション(DX)、3.人財強化にフォーカスされています。具体的な中身はどのようなものでしょうか。
川本:1を中心に、その手段として、2、3があるのというのが正確なところです。1の成長領域・新規事業にフォーカスしながら、2のデジタル化への対応を積極的に行い、1を実践するために3の人財強化を行うということです。