「二項動態」が日本的経営の本質
京セラが実践しているのが「コンパ経営」である。あるテーマについての緊張感ある対話、つまり「知的コンバット」を階級や部門を超えて行なう場だ。そこでは、お酒を差しつ差されつつ、畳の上で1つの鍋をつつく。結果、身体と心が全身全霊で向き合い、組織的に「相互主観」を創出され、そこで出た結論は次の日から身体化され実行される、という。
優れたリーダーには変化に対応しながら判断していくことが求められる。そのためには動的な“戦略”が必要だ。野中氏は、それを「サイエンスを超えて人間の生き方を問う物語り」と表現する。重要なのは「何のために、どうやるのか」という、アートとサイエンスを統合する実践的指針である「実践知」だ。これを京セラでは「生き方のスクリプト」として78項目掲げているという。