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デンマーク発・普遍的なブランドデザイン

北欧最大級のデザイン会社が説く、自社の歴史のなかにある“本質”を削り出す「ブランドデザイン」

第1回

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 現在、商品やサービス単位から企業単位まで、ブランドをいかにデザインするかが課題となっています。実際に多くの企業がブランドデザインに取り組んでいますが、中にはブランドを「企業に後から付加される価値」としか捉えていないものもあります。いかに時代に即した形でブランドを作ったとしても、企業の本質的な価値観を表現しなければ、長く機能しません。  デンマークのコペンハーゲンに拠点を置く、北欧最大級のブランドデザインエージェンシー「Kontrapunkt(コントラプンクト)」は、過去から未来へと続く企業の活動から本質を削り出すことで、100年続くブランドをデザインしようとしています。このブランドのあり方をコントラプンクトは「Genuine Brand(ジェニュインブランド)」と名付け、企業の持続的なブランドのデザインを広めています。  本連載では、コントラプンクトの濱口屋有恵氏とメンバーズの川田学氏が、Genuine Brandの哲学とアプローチがなぜ機能するのか、そしてなぜ日本企業に必要なのかを探っていきます。

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コントラプンクトが掲げる「Genuine Brand Design」とは?

 少子高齢化・人口減少といった社会課題もあり、日本経済は縮小していくと見込まれています。日本企業は、一昔前まで「成長」を基本的な方針としていましたが、これからは「共生」を基本的な方針とすべき時代になってくるのです。アメリカの経済学者マイケル・ポーター氏がCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)を提唱し、国連がSDGs(持続可能な開発目標)を採択するなど、企業の活動を社会課題と結びつける流れは世界的に加速しています。

 今、コントラプンクトが拠点を置くデンマークを含む北欧が注目されているのは、文化やデザインのあり方だけでなく、社会の持続への取り組みでも進んでいるからだと思います。そこで我々は、デンマークをロールモデルに、日本企業の新しいあり方を「共生」という方針のもとに提示できないかと考えました。

 コントラプンクトは、デンマーク政府各省庁のブランドアイデンティティをデザインする、レゴのアイデンティをリデザインするなどの実績があり、北欧屈指のデザイン会社とも言われています。

 コントラプンクトのデザインには、過去から現在、そして未来へと続く活動から、その企業の“本質”を削り出すという特徴があります。本質を削り出すことでブランドをデザインする手法を「Genuine Brand Design(ジェニュインブランドデザイン)」と呼びます。「Genuine」とは、日本語で「本質」という意味です。ここが、ブランディングを企業の「後から付加される価値」と考え、新たに作り出そうとする手法と一線を画す点ではないでしょうか。

 どれほど優れたブランドであっても、押し付けられたりするものでは意味がありません。また、時代の流れに乗って「持続」や「共生」を目指したとしても、企業の本質を表現したブランドでなければ機能しません。ブランドとは、自社の歴史の中にあり、それを削り出して磨き上げるものだと考えます。そのため、Genuine Brandでは「普遍性」を重視しています。本質を捉えるからこそ、一過性ではない、持続するブランドのデザインになります。

 そして停滞している日本社会において、本質から捉え直した普遍的なブランドデザインは、企業にとって明確な方針を示すことになります。その新たな方針は、企業内外から共感を生み、社会において、企業としての役割を強く前進させていくこと繋がります。

 では、企業の本質はどのように削り出していけば良いのでしょうか。次のページからは、コントラプンクトが考える“本質”と、Genuine Brand Designについて紹介していきます。

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企業やブランドに根付く3つの“本質的な正しさ”

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この記事の著者

濱口屋 有恵 (ハマグチヤ トモエ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

川田 学(カワタ マナブ)

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