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旅行産業の拡大を加速させるトラベルテック企業──世界の動向と2020に備える日本の現状

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世界のGDPの10%を占める旅行産業とトラベルテック企業のトレンド

 最初に、Coral Capital創業パートナーの澤山陽平氏が登壇し、世界における旅行産業のトレンドと、トラベルテック企業の先進事例を紹介した。

 旅行者数は世界的にみて急速に増加している。1950年には約2500万人だった年間旅行者数は2018年には約14億人まで増えている。旅行者数の増加は2010年以降に加速しており、年間旅行者数が14億人に達したのも、元々の長期予測より2年早かったのだという。澤山氏は、世界的な好景気や航空チケット価格の安定、ビザの緩和に加え、テクノロジー企業の参入が大きな要因だと話す。Airbnb‎のようなテクノロジー企業の参入が旅行者の選択肢を広げて、旅行者数の増加に寄与しているのだ。

 旅行者数の増加にともない、旅行が世界経済に与える影響も大きくなっている。日本旅行業協会がまとめた資料では、旅行産業がもたらす経済効果は、直接的なものから間接的なものまで合わせて日本円で823兆円を超えるとしている。これは世界GDPの10.2%にあたり、小売業、金融サービス、建設業に次ぐ規模だ。

 1%の業務改善であっても大きなインパクトを与えることができる規模ということもあって、参入するテクノロジー企業にも大きな注目が集まる。投資額も年々増加しており、2017年には16億ドル以上がトラベルテック企業に集まっている。澤山氏は、欧米に加えてインドや中国にも投資が集まっている点をトラベルテックの特徴として挙げた。インドや中国は人口が多いため、旅行者数も多く、自国を中心としてサービスの拡大が期待できるからだと推測している。

 澤山氏は次に、旅行に直接関係する領域を以下の10種類に分類し、トラベルテック企業のトレンドを説明した。

  • General Booking & Search:昔から存在するいわゆる「予約サイト」と呼ばれるサービス。
  • Specialized Booking & Search:当日予約など、特別な予約を専門としたサービス。
  • Travel Analytics & Software:予約データなど膨大なデータを分析するサービス。
  • Home Sharing & Rentals:Airbnb‎をはじめとする、シェアリングサービス。
  • Car Sharing & Rentals:自動車など移動手段に関するシェアリングサービス。
  • Activities, Touring & Info:現地での体験に関するサービス。
  • Smart Luggage:スマートスーツケースなど。最近苦戦している領域。
  • Luxury & Personalized Travel:富裕層向けの高級でパーソナライズされたサービス。
  • Private Jet Booking:プライベートジェットの予約サービス。
  • B2B Travel Services:出張手配など、ビジネス向けのサービス。

 澤山氏は、この分類をもとに、世界的に注目されているトラベルテックのスタートアップ企業7社を紹介した。

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