DXの目的は「実務的な改善」から「本質的な改革」へ
電通デジタルで数多くの企業のDXを支援する安田裕美子氏は、冒頭で触れた同社で発表予定の2019年度の最新調査データの分析結果を踏まえ、現在の日本企業のDXへの取り組み状況について紹介した。
DXに取り組んでいる企業は順調に増えており、着手済みの企業は昨年度から7%増加し7割、計画中の企業も合わせると8割を超える。また、肝心の成果についても半数が「出ている」と答え、「一部に成果が出ている」と答えた企業も含めると8割以上の企業が肯定的に捉え、「出ていない」と答えている企業は2割に満たない。
またDXに「着手済み」と「計画中」の企業を比較すると、どうやら対象に差異があるようだ。着手済み企業については「業務プロセスの先進化」や「サービスへのIoT・AIなどのテクノロジー活用」および「ITソリューションの導入」と答え、実務的な改善に取り組んでいる。一方、計画中の企業は一番に「ビジネスモデルの変革」をあげ、本質的な改革に意欲的であることが伺える。
それでは、いったいDXによる「ビジネスモデルの変革」はどのように取り組んでいくべきなのか。そして、なぜデジタルトランスフォーメーションに取り組まなければならないのか。安田氏はそれらの問いに対し、「既にDXによって急成長している事例」を取り上げて次のように解説した。