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なぜ大企業のDXは進まないのか──ゆめみ片岡代表が語る、新たな「組織構造」と「意思決定プロセス」

Biz/Zine Dayセミナーレポート Vol.2:株式会社ゆめみ 片岡俊行氏

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意思決定プロセスは「階層型の入れ子構造」から「助言プロセス」へ

 そもそも日本企業の従来の組織構造は「入れ子構造」になっていた。重要事項は階層的な承認プロセスを経て決定されるため、上級職は“ちゃぶ台返し”ができる。だからこそ、下は上を見て仕事をするため、上層の決定が下までしっかりと届いていく。産業革命時代において、この入れ子構造と承認プロセスは命令を確実に遂行していくという意味で大きな価値があった。しかし、インターネット時代にはその煩雑さや厳密さ、権限委譲の難しさが組織の足かせになってしまう場合が多い

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 そこで、インターネット時代における新しい組織づくりでは、話題の書『ティール組織』でも推奨される「助言プロセス」の考え方が採用されるようになってきた。担当者が自律的に意思決定を行うが、必ず上司や専門家に相談するというシンプルなプロセスだ。片岡氏は「全ての意思決定プロセスをこの形であることが望ましい」と言い切る。依頼することや人によって意思決定プロセスを変えてしまうと、かえって混乱することになるからだ。

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 なお全てを各部門担当者が勝手に決めてしまうのではないかという不安を持つ人も多いかと思うが、片岡氏は「あくまで業務で完全に分かれ、別チームとの連携が必要なプロジェクトが勝手に進んでいくことはありえない。たとえばデザインチームとコードチームがお互いにレビューしあい、助言をしあうことで、最適な判断が可能になる。また、権威は生きているため、上司や専門家からの助言が無下にされることはなく、適正なリスクヘッジを行うこともできる」と説明する。

 スクラムなど様々な方法があり、新しい手法をパッケージで導入するとなると手法が目的となってしまってハードルも高い。あくまでメソッドではなく、考え方として重要なのは自己完結で意思決定できるが、勝手にではなく周囲と協調しながら進めることだ。まさにインターネットの自律・分散・協調という性質を備えた組織といえるだろう。

 片岡氏は、松下幸之助氏の「任せて任さず」の言葉を引用し、「『部下の足らざるを補って、部下に任せる』という基本的な考え方こそ重要」と強調した。もともとそうした考え方は入れ子構造であった組織の中でも、属人的なマネジメントとして行われてきた。評価者である上司と部下の関係性の視点が非対称であるにも関わらず、それでもあえて部下との意見が異なるとき、「それでも反対してくる部下の意見」を汲み取れる人は決して多くはなかった。それならば「任せて任さず」を人に任さず、組織そのものを変え、評価者と意見者との関係を外すことで、よりものが言いやすい環境を構築しようというわけだ。

 最後に片岡氏は、「成功している企業は担当者が自己完結で決定・判断し、失敗しながらアジャイル的に新しい価値を生み出そうとしている。それが最終的に組織の文化となるには、トップの決断がどうしても必要となる。ぜひとも、異質な文化を持つパートナーを加え、小さなうねりから組織として大きなうねりに変えていくものにして役に立ててほしい」と語り、セッションを終えた。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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