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なぜ大企業のDXは進まないのか──ゆめみ片岡代表が語る、新たな「組織構造」と「意思決定プロセス」

Biz/Zine Dayセミナーレポート Vol.2:株式会社ゆめみ 片岡俊行氏

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“異質なパートナー”から学ぶ、品質と顧客体験のバランスのとりかた

 片岡氏は「インターネット的組織を実現している企業との連携には3つのステップがある」と説明する。まず1つめが「異質なパートナーを取り込んでいくこと」。このとき決して丸投げせず、ただ単に役割分担を行うのではなく密着して“取り込む”イメージが必要だという。そして2つめは安全な領域において失敗を繰り返すことであり、無理をせず、小さな部分から行うことがコツだという。そこから3つめとして、少しずつ“抗体”をつくって広げていき、組織内に横展開していくというわけだ。

 ゆめみ自身も顧客企業と連携する際に、最初の頃は失敗の連続だったという。その失敗パターンとして片岡氏は2つの理由をあげた。まず顧客企業側のプロダクトオーナーが優先順位を決めきれずに、やりたいことが発散し、二転三転して、コスト超過や納期延滞が発生すること。そして、そうした顧客企業に対し、ゆめみ側が不確実性に対してリスクヘッジをしすぎて柔軟性にかけてしまうことだという。

 こうした失敗に陥らないためには、優先順位の考え方が重要になる。多くの場合、QCD(品質・コスト・納期)のいずれを優先するかと考えがちだが、顧客企業には「全部」と答えられることが多い。片岡氏は「全部というのは顧客企業にとっては必然といえる。そこで、品質の解像度をあげ細分化して見ることがインターネット時代には重要」と語り、「狩野モデル」について紹介した。

 「狩野モデル」とは、東京理科大学名誉教授の狩野紀昭氏が1980年代に開発した顧客満足モデルで、顧客満足度に影響を与える製品やサービスの品質要素を「基本品質」「性能品質」「魅力品質」の3つに分類している。「基本品質」はなくてはならない品質、「性能品質」はあれば満足できる品質、そして「魅力品質」はなくても仕方がないと考えられるが、あれば顧客満足度が高まる品質だ。

狩野モデル

 この「基本品質」をQCDと捉え、加えて「性能品質」をScope、「魅力品質」をAttractと定義して、優先順位を考える。このとき、「基本品質」は必須とした場合、「性能品質」と「魅力品質」のせめぎあいになる。ただし、片岡氏は「ここで決して品質を高めることがゴールになってはならない。あくまで顧客の体験を最適化することを優先することが重要」と指摘する。つまり、ScopeとAttractのどちらにどうバランスをとれば顧客体験向上につながるのか。その最適解を導き出すバランスを考えるべきというわけだ。

QCD

 たとえば、ダイソンのコードレス掃除機の場合、吸引力を訴求しているが、機能面で考えるとそれは吸引力の「高さ」ではなく「持続力」のことだ。しかし、吸引力が高くないことで、結果として絨毯が吸い付かず、掃除の手軽さや楽しさが顧客体験として創出される。さらにホコリが取れていることがわかる透明の集塵カップや、リビングに飾れるデザイン性の高さから、さらに「気軽なお掃除」といった体験が強まっていく。デザイン性は魅力品質ではあるが、デザイン性でヒットしたのではなく、顧客体験の向上に繋がっている点が重要だと分析する。

ダイソン

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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