インタビュー 社会人が大学院で研究する意味

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管理者大量生産型ではない“研究者クラフト生産型”の教育──宇田川先生が聞く社会人大学院での研究とは?

ゲスト:埼玉大学大学院 人文社会科学研究科 准教授 高端 正幸氏、准教授 石 瑾氏

 経済・経営系の社会人大学院として注目を集める「埼玉大学 経済経営系大学院」(東京・神田で平日夜間・土曜日に開講中)。問題の対処法を学ぶMBAではなく、一段深い研究ができる場として高い評価を受け、多くの優れた修了生を輩出してきている。社会人が研究をすることは、何につながるのだろうか。Biz/Zineでもお馴染みの埼玉大学大学院准教授である宇田川元一氏が、財政学やサプライ・チェーン・マネジメントを研究する2名の人気准教授に、ご自身の研究内容を絡めつつ、社会人が同校で学ぶメリットや魅力を聞いた。

[公開日]

[語り手] 高端 正幸 石 瑾 宇田川 元一 [取材・構成] フェリックス清香 [写] 和久田 知博 [編] 栗原 茂(Biz/Zine編集部)

[タグ] 教育 企業戦略 MBA 社会人大学院

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「痛税感」と「仕事の意義の不足」に共通すること

宇田川元一 准教授(以下、敬称略):今年は所得税の確定申告の期限が延期されましたが、日本は他の先進国と比較しても税の負担率は決して高くないにも関わらず、なるべく払いたくないという人が多いですよね。「公務員がもらいすぎているんじゃないか」と、税金を食い潰す悪者がいると考えている人も多いと思います。これだけ財政の問題があって、公共サービスの恩恵を受けているにも関わらず、ちょっと極端な反応ですよね。高端先生は「痛税感」の研究をなさっていますが、なぜこういった状況が起こるのでしょうか。

高端正幸 准教授(以下、敬称略):いろいろや要因がありますが、痛税感を感じる理由はざっくり言えば「信頼が欠けている」からです。北欧のいわゆる「大きな政府」と比較するとわかりやすいのですが、北欧では、教育や失業保険など、税金で賄っているサービスの恩恵をふんだんに受けながら育ち、生活しています。でも日本は増税があったときに、「負担は増えたけれど、その分、支えられたな」と感じにくいんですよね。

 また、マーケットメカニズムをベースに考える既存の経済学で財政赤字に対処しようとすると、所得税・消費税・法人税の中で一番労働者や生産者の労働意欲・生産意欲を阻害しないのは何かと考え、その結果、消費税を財源の中心にすべきだと判断しがちです。しかし、それが税負担に対する公平感を損ない、結果として、税を負担することで公共部門を支えているという、税金を払うことに対する意義を感じにくくなってしまうのです。

宇田川:今、企業社会でも自分の仕事に意義を見出せない人がたくさんいますが、その問題と痛税感には共通するものがあると感じています。そして、税金を払うことや自分の仕事に意義を感じられないことが、自分が社会や組織を作り上げているという実感が持てないことにつながり、それが社会や組織の退廃につながっていると思うんです。

高端正幸埼玉大学大学院 人文社会科学研究科 准教授 高端 正幸(たかはし まさゆき)氏

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