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社会人が大学院で研究する意味 (AD)

管理者大量生産型ではない“研究者クラフト生産型”の教育──宇田川先生が聞く社会人大学院での研究とは?

ゲスト:埼玉大学大学院 人文社会科学研究科 准教授 高端 正幸氏、准教授 石 瑾氏

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研究を通じた“複眼的な視点”で変化を読み、根底にある共通項を発見する

石:エコシステム企業、つまりプラットフォーマーの恐ろしいところは、既存のビジネスの境界線を簡単に突破し、たやすく新事業に参入できることです。これまではたとえば金融業で言ったら三菱UFJ銀行の競合はみずほ銀行で、同業界内しかライバルにはなり得なかったんです。ところが、アリババの事例に見られるように、アリペイを作った結果、EC企業であったアリババはいきなり金融市場に参入し、既存の保険会社や銀行のマーケットを侵食したんです。しかも、多大なユーザー基盤を生かして一気に新市場を制覇することが考えられます。これはいわばエコシステムの「winner-take-all-effect(勝者総取り効果)」ですね。

宇田川:GAFAなど、巨大プラットフォーマーに関しては最近、欧米ではアンチトラストの観点で批判されているのもそれが原因ですね。研究をしていくと、世の中は変わっていくにも関わらず、表現が変わっていくだけで、本質は変わっていないんじゃないかという現象が見つかったりもしますよね。だって、独占禁止は新しい発想ではありませんし、今回はエコシステムの形で再登場するだけですものね。このように、現実に起きていることを既存研究に照らしてわかること、まだわからないところを複眼的に見られるのが研究のおもしろさなのでしょうね。

石:そうですね。IoTもそうです。今は流行り言葉になっていますが、コンピューター・サイエンスの人にとっては全く新しいものではありません。でも、ビジネスにおいては確実にいろいろな変化を引き起こしています。こういう現実の複雑さはおもしろいですし、複眼を持って研究することが必要ですね。

宇田川:また、アリババが二重の国際戦略をとっている話を聞いて、先ほど「両利きの経営」に言及しましたが、研究をしていると全く違う研究分野でも問題意識が共通することってありますよね。以前に勤務していた大学では、全部の学部の研究室が1つの建物に入っていて、僕の研究室の隣が聖書学の研究者、斜め向かいが体育学の研究者だったんです。領域は全く違うのですが、話を聞いていると自分の研究のヒントになることが多数見つかったんです。登山口は違っても登る山は同じなのだなという気がします。多くの研究者とともに研究できるのも、大学院での学びの醍醐味ですよね。

 高端先生、石先生の今日の話題も、非常に刺激になりました。本日は、ありがとうございました。

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