連載・コラム Transformation20から見る柔軟な組織変革

イノベーションに成功した20社に学ぶ事業変革──Transformation20の分類と組織の危機

前編

 「Transformation20」というランキングをご存知でしょうか。ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授らが設立したINNOSIGHT社が発行する定期レポートで、“企業変革をもたらすイノベーション”に成功してきた企業20社を選定しています。
 近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、ビジネス組織の改革に取り組む企業が増えてきました。一方で、既存組織の制約など、思うように進まないケースも散見されています。本連載では、Transformation20の選定企業に着目し、組織改革の要点について考察していきます。目まぐるしく変わる市場環境の中、痛みをともなう決断を実行してきた企業からの学びは少なくありません。

[公開日]

[著] 塚原 悠平

[タグ] 事業開発 デジタルトランスフォーメーション DX 新規事業 事業変革

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INNOSIGHT社が選ぶイノベーションに成功した20社

 「Transformation20」とは、米国のコンサルティングファームINNOSIGHT社が選出している“企業変革をもたらすイノベーション”に成功してきた20社の企業リストです。INNOSIGHT社は、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授らによって設立された企業で、破壊的な変化に適応させながら、企業を成長させ続ける“イノベーション”に着目した支援を行っています。

 まずは2019年のリストに挙げられた20を見てください。

  1. Netflix
  2. Adobe
  3. Amazon
  4. Tencent
  5. Microsoft
  6. Alibaba
  7. Ørsted
  8. Intuit
  9. 中国平安保険
  10. DBS銀行
  11. A. O. Smith Corporation
  12. Neste
  13. Siemens
  14. Schneider Electric
  15. Cisco Systems
  16. Ecolab
  17. 富士フイルム
  18. AIA Group
  19. Dell Technologies
  20. Koninklijke Philips

 この企業リストは、S&P 500やForbes Global 2000といった企業群から選ばれており、誰もが知る世界的な企業が並んでいます。また、NetflixのDVDレンタルからストリーミング配信に移行による急成長など、トランスフォーメーションの内容も有名なものが多く含まれているのも特徴です。日本からも富士フイルムが選出されています。「写真のデジタル化」という潮流の中で、写真フィルム中心の企業からヘルスケア企業へと変貌を遂げた事例は、イノベーションのジレンマに陥ったEastman Kodakと共に、非常に有名なエピソードです。

 市場環境の変化の大きさとスピードが大きい現代において、柔軟に適応することの必要性は多くの人に認識されてきています。しかし、「どう推進していくべきなのか」「なぜうまくいかないのか」という点は、必ずしも明確になっているわけではありません。このリストには、コア事業を変化・ピボットさせ、かつ優れたパフォーマンス(売上・利益の成長、株価の向上)を実現させた企業が名を連ねています。次のページからは、当たり前になってしまった過去の成功事例を、整理・検証していきたいと思います。

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