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究極のサービスデザインは “未完”である──コンセント赤羽氏に聞く、組織で共創と対話を持続させる方法

ゲスト:株式会社コンセント シニアサービスデザイナー 赤羽 太郎氏

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 社会のデジタル化の進展も手伝い、顧客体験の魅力を高めることの重要性が増す中、価値は体験を通して生まれるものだという認識が一般化してきている。そこで今、重要視されるのが、サービスデザインという方法論である。サービスデザインでは「モノ売りからコト売りへ」という発想を超え、様々な「モノ」と「コト」を統合した「サービス」全体をデザインする。  サービスデザインは世界で、日本で、どのように捉えられているのだろうか。サービスデザインを実行するときには、どのような点に注意が必要なのだろうか。2020年2月に刊行された『This is Service Design Doing サービスデザインの実践』(ビー・エヌ・エヌ新社・刊)の日本語版制作協力者を務めた株式会社コンセントのシニアサービスデザイナー赤羽太郎氏に、サービスデザイナーの古澤恵太氏が聞いた。

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ここ数年で急増するサービスデザインプロジェクト

古澤恵太氏(サービスデザイナー、以下敬称略):赤羽さんとは私の前職のコンセントで、JR西日本さんのサービスデザインを取り入れたプロジェクトを一緒に担当しましたね。輸送障害時の顧客対応改善のためのプロジェクトでした。

 JR西日本さんではデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)を進める上で、顧客起点のサービスが求められる昨今、ただ業務をDX化すれば良いわけではないという意識から、サービスデザインに取り組まれていましたよね。

赤羽太郎氏(株式会社コンセント シニアサービスデザイナー、以下敬称略):一連のサービスを関係部署が連携して考える、サービスデザインらしいプロジェクトでした。

サービスデザイン図版出典:『我が国におけるサービスデザインの効果的な導⼊及び実践の在り⽅に関する調査研究報告書[概要版]』5P目(経済産業省、2020年3月)

古澤:プロジェクトは、フェーズ1として満足度を損なう顧客体験が生まれる理由を社内外で調査しました。次にフェーズ2として調査結果をもとに課題をそれぞれビジュアルでまとめるべく、対象とする顧客像をペルソナ、輸送障害時の体験を時間軸に沿って可視化するカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)で表現しましたね。そしてフェーズ3ではアクションプランの策定を行いました。

 JR西日本さんは「お客さまのために」一丸となって取り組もうという意志が強く、様々な部署が連携していました。少しずつこういったサービスデザインらしいプロジェクトが増えてきましたよね。

赤羽:統計をとったわけではありませんが、増えたと感じます。コンセントでは2012年にサービスデザイン専門のチームを立ち上げましたが、当時は多くの場合、アイデアやプロトタイプを作るところまででした。でも今はサービスデザインのマインドセットやアプローチが仕組みとして組織の中に残るプロジェクトが増えています。

古澤:なぜこういったサービスデザインのプロジェクトが増えてきたのだと思われますか。

赤羽: いろいろな要因がありますが、相談を頂くひとつのきっかけとして、企業各社のDX化があります。DX化する際、ビジネスのやり方、組織のあり方、アプローチの仕方からホリスティックに、サービスデザインの考え方を適応して見直す企業が多いのでしょう。

 また、ヨーロッパでは行政がサービスデザインを活用する事例が多いんですが、日本でも最近、特許庁や経済産業省がサービスデザインを導入していますよね。経産省は、2020年4月に「サービスデザインの手引書及び調査研究報告書」を出しました。こういった環境によって、企業にサービスデザインを受け入れる土壌ができたのでしょうね。

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