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行動科学で進化するHondaのワイガヤ

“ワイガヤ”をオンラインで再構築するHondaの挑戦──Withコロナ時代のイノベーション創出法

イノベーション創出プログラム「YG Innovation Facilitator」オンライン版 前編

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 新型コロナウィルス(COVID-19)の影響は、企業の働き方に大きな影響を及ぼしており、多くの企業でテレワークが導入される動きが加速しております。  私たち本田技研工業株式会社(以下、Honda)で実施している、新事業や新サービス創出を目指すイノベーション創出プログラムYG Innovation Facilitator(以下、YGIF)も、これまで基本としてきた15名前後よる対面でのワークショップが2020年2月頃から継続が難しくなりました。  このような環境の中Hondaは、2020年4月に、在宅の600名(150グループ)の従業員をビデオ会議システムで結ぶことにより、5日間の新サービスアイディア創出ワークショップを開催いたしました。  本稿では、実施の内容と得られた結果、気づきをご紹介し、テレワーク時代に対応した新しいワークショップの可能性をご提案させていただきます。

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600名規模・オンラインでの“ワイガヤ”構築

 政府が2020年4月7日に発令した緊急事態宣言による外出自粛要請によって、Hondaが予定していた2020年度新入社員600名への対面研修プログラムは、実施困難となりました。そこで、研修プログラムを担っている人事部人材開発課が、オンライン形式で在宅のビデオ会議を可能とする体制を即座に構築し、社内の各部門に対して新たな研修プログラムの手配を行いました。

 この新たな研修プログラムの一環として、私たち知的財産・標準化統括部が中心になって展開しているイノベーション創出プログラムであるYGIFチームにも声がかかり、4月15日から5日間にわたるワークショップを急遽企画することになりました。

 イノベーション創出プログラムであるYGIFは、本質を議論するHondaの文化である“ワイガヤ”を行動科学で再定義した新事業や新サービスのアイディア創出の仕組みです。理論の概要については、2019年9月に公開した寄稿(前編後編)でご紹介しておりますので参照いただければ幸いです。

 さて、今回のワークショップの企画にあたっては、大きなチャレンジが2点、ありました。1つ目はビデオ会議、そして2つ目は600名という極めて大きな人数規模です。

 図1に示すように、YGIFは、行動科学に基づいたワークショップ設計である「体系的枠組み」と行動科学の1つである心理学(カウンセリングスキル)によるファシリテータの介入を特徴としております。

図1:YG Innovation Facilitatorの概念図1:YG Innovation Facilitatorの概念

 たとえば、参加者12名規模の対面でのワークショップを行う場合は、4人の参加者で1つのグループを作り、グループ毎に1名のファシリテータを配置。さらにファシリテータのスーパーバイザーである上級ファシリテータを1名、そしてワークの説明や進行を行う事務局を1名、という形式を基本としていました。すなわち、12名の参加者に対して5名の運営者が必要となります。

 また、ファシリテータについては、“ワイガヤ”ができる安心・安全の場を提供するために、カウンセリングスキルをベースとした“場”への介入を行います。介入は、参加者の言語・非言語で表出する内容、たとえば、雰囲気、話す様子、表情、感情、平等性等を感じ、ファシリテータ自身が安定した状態で行われることが必要です。

 このように「対面」で「最大20名程度の小中規模」で実施できるようなワークショップの設計にしていたため、オンラインかつ600人で開催するためには、根本から組み立てなおす必要がありました。

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この記事の著者

仲山 修司(ナカヤマ シュウジ)

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