創薬研究において、国内外の医薬研究の動向をタイムリーに追い続けるためには、論文や医学データを日常的に参照し疾病や化合物に関連する情報をアップデートし続けることが不可欠とされている。また、基礎研究から臨床試験に到達する確率は3,000~5,000分の1、研究期間は5~8年もの年月がかかると言われており、ひとつの成果を得るために費やす研究者の膨大な時間と労力が、創薬研究の大きな課題とされている。
発表した論文探索AIシステム「Amanogawa(あまのがわ)」には、PubMedとOpen Targetsの最新のデータベースを学習させてあり、FRONTEO独自の自然言語解析AIエンジン「Concept Encoder」によってすべての論文情報を位置情報に変換。研究者が自らの仮説やキーワードを「Amanogawa」に入力すると、仮説と仮説に関連する最新の論文が位置情報として地図状にプロットされ、参照すべき論文を視覚的に抽出。さらに「Concept Encoder」が論文同士の内容の類似度を分析しMAP上の位置を定めるため、表示されているエリアによって論文の内容を特定するなど、MAP上をドラッグアンドドロップすることで絞り込み検索が行うことが可能だとしている。
人では読み込むことが不可能な数の論文情報をわずか1日で分析し可視化することで、論文探索プロセスのすべてを視覚的、感覚的に行える機能を持つ「Amanogawa」は、論文情報の検索、絞り込み、分析、さらには標的分子の抽出など、創薬研究一連のプロセスに抜本的な変革をもたらす。また、人のバイアスなしに関連性のある論文をリストアップすることができるため、経験や主観に依らない、データ主導の新たな仮説構築によって、革新的な新薬の創出にも貢献することができるのだという。