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領域別 テクノロジー活用トレンド

食領域でも拡大する「流通最適化」と「D2Cブランド」──4つの事例からトレンドを探る

食領域-3

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 様々な領域のデジタルトランスフォーメーションとテクノロジートレンドを紹介していく本連載。第1回と第2回に続き、今回も「食」領域について解説します。今回のテーマは「流通最適化」と「食のD2Cブランド」。市場拡大の背景と、私たちがこのテーマで注目しているサービスをご紹介します。

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食品流通が抱える課題と解決に向けた3つの切り口

 本シリーズでは、食領域で伸びているフードテックサービスを下図のように整理しています。今回は、生産から流通・加工にわたる「流通最適化」へのテクノロジー導入と、他領域でも注目を集める「D2Cブランド」についてまとめていきます。

タイトル

 まずは流通についてです。一般に「流通業」といえば、小売業や卸売業、物流業など、流通に関わる様々な事業者を指します。今回のテーマである「流通最適化」では、そのような流通事業者の業務効率化や、事業者間のプロセスを最適化するサービスについてご紹介します。

 国内における食の流通構造は、生産者→集荷者→卸売市場→製造・小売・外食事業者→消費者という大きな流れがあります。農産品や水産品などの種類によって、卸売市場の形態や輸入率、市場外流通の比率には差がありますが、概ね同じ流れで、いずれも多段階かつ多くの事業者が存在する構造となっています。今回、これら食品流通の全体像を概略化し、以下のように整理しました。

 このように食品流通は階層が多く、関係事業者数も多いことから、様々な構造的問題が存在しています。

 たとえば、約1/3が流通過程で廃棄されている「食料廃棄」の問題です。SDGsにおいて削減目標が設定されていることからもわかるように、食料廃棄は世界的に注目されている問題となっています。日本でも多くの食料品が流通段階で廃棄されており、削減に向けた対策が急務となっています。

 また、いまだに電話やFAX、面談が中心となっている受発注業務をはじめとするオペレーションに多くの時間・コストが費やされているなど、生産性の低さも問題となっています。比較的儲かりにくい業界構造となっていること、多くの企業が受発注関係でつながっていることから、生産性向上への投資が遅れているという現状があります。

 受発注関係でつながっている一方、流通事業者間で情報が分断していることも特徴で、異物混入などの安全性に関わる事故が発生した際に原因が特定しづらいことや、その状況が偽装の遠因となっている可能性が指摘されています。

 これらの課題の解決に取り組むサービスを「産地直送プラットフォーム」「流通効率化」「トレーサビリティ管理」という3つのカテゴリーに分類しました。

産地直送プラットフォーム

 川上の生産者と、川下の製造・小売・飲食業者や消費者を直接つなぐマーケットプレイスや流通プラットフォームを提供しているプレーヤーです。中間流通業者を排除することで、食料廃棄の減少や、生産者の収入増加を狙っています。

流通効率化

 既存の流通網や製造・小売・飲食業者の仕入れを効率化するシステムやソリューションを提供しているプレーヤーです。流通領域の生産性向上を狙っています。

トレーサビリティ管理

 食品の生産・加工・消費までの移動経路を追跡し、把握可能にするソリューションを提供しているプレーヤーです。サプライチェーンの透明化による食の安全性を確保することを目的としています。

 次のページからは、サービスカテゴリーに対応したサービスを見ていきましょう。

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この記事の著者

阿部 傑(アベ タカシ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

田代 一馬(タシロ カズマ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

米原 夕貴( ヨネハラ ユウキ)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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