「デジタルトランスフォーメーション銘柄2020」について
経済産業省は、中長期的な企業価値の向上や競争力強化に結び付く戦略的IT投資の促進に向けた取り組みの一環として、東京証券取引所と共同で「攻めのIT経営銘柄」の選定を実施してきた。近年、デジタル技術を前提として、ビジネスモデルなどを抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」のグローバルな潮流が起こっていることを踏まえ、2020年より「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として選定を行うもの。
丸井グループの主な評価ポイント
今回の選定においては、丸井グループの「売らない店」への進化に向けた取り組みと、それらを支える「働き方改革」について、高く評価されたのだという。前者については、「D2Cビジネスの活性化を推進する専門会社を設立し、新しい顧客発掘の観点で新規ビジネスの創出にも寄与するもので、将来性・発展性も見込める」として、後者にいても、「モバイル、電子契約、RPAなどを活用した効率性・生産性向上策」が評価された。
デジタルトランスフォーメーションの推進
丸井グループは1960年の日本初のクレジットカード発行以来、システム管理と開発をグループで内製化することにより、小売と金融の一体化を実現してきた。この強みを活かして、カード事業やEC事業、証券事業などを複合的に展開することで、独自のビジネスを進化させている。近年は、激しい外部環境の変化に対応し、2017年にCDOを設置。また、グループのIT部門にデジタルトランスフォーメーション推進本部R&Dセンターを設立し、事業構造転換のさらなるスピードアップを進めているのだという。
「売らない店」への進化に向けた取り組み
小売事業において、「売らない店」というコンセプトで未来の店舗を構想し、これまでリアル店舗に出店してこなかった取引先や、新たなECの潮流であるD2Cブランドとの協業により、リアル店舗を「商品を販売する場」から「体験を提供する場」へと進化させる取り組みを強化している。
こうした取り組みの一環として、2020年1月に、D2Cのエコシステムを支援する新会社『D2C&Cо.(ディーツーシーアンドカンパニー)』を設立。D2Cスタートアップ企業への投資にとどまらず、マルイ店舗や、エポスカード会員、小売ノウハウを持つ人材などの丸井グループのリソースを最大限活用することで、モノづくりやECサイトの構築、リアル店舗の出店・運営に至るまで、D2Cに関連する領域全般においてさまざまな取り組みを推進していくと述べている。
働き方改革の推進
グループ内の9社30部門にRPAを導入し、業務時間削減を実現したほか、ペーパーレス化/テレワーク推進のために、電子契約システムを導入するなど、業務の効率化を図っている。また、社内外の問合せ対応として、複数部署にチャットボットを導入。さらに、コールセンターでの電話応対の音声をテキスト化・分析し、FAQ作成やサービスの改善に活用するなど、生産性の向上のみならず、お客さまへのサービス向上にも努めている。