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スリーエム ジャパン昆社長が語るイノベーションにおけるCFOの役割、2つの「アカウンタビリティ」とは

ゲスト:スリーエム ジャパン株式会社 代表取締役社長 昆政彦氏【前編】

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スリーエム ジャパン昆社長のキャリアのターニングポイント

大塚寿昭氏(バリューアップパートナー株式会社代表取締役、以下敬称略):昆さんのキャリアに関してお聞かせください。

昆政彦氏(スリーエム ジャパン株式会社 代表取締役社長、以下敬称略):私のキャリアのターニングポイントになった経験は3つあります。

 1つ目は、ジャック・ウェルチ時代のGE日本支社で財務を担当したこと。米国企業は先進的なファイナンス組織を構築しており、私は当時新設されたばかりのFP&A部門のマネージャー職を任されました。米国本社が使用しているレポートやプロセスを学ぶなど、その素晴らしい環境の中で自分自身のスキルを磨き、財務部門のあるべき立ち位置を知ることができました。そのことで、いわゆる“帳簿屋”にならずに済みました。

大塚:2つ目のターニングポイントは何でしょうか。

昆:2つ目は、ユニクロやGUなどを展開するファーストリテイリングに転職したことです。ここではCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的価値)担当役員とM&AやPMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)を任されました。ファイナンス以外にCSRなどの「社会的価値」を実務で接すること、視野をかなりひろげることができました。

 ゼロから学びCSRのプロセスを社内に作り上げる取り組みやPMIの経験は、現在につながっています。また、それまではBtoBでの経験が多かったのですが、BtoCのビジネスに直に触れるたことは貴重な経験でした。

大塚:ファーストリテイリングでは財務以外の取り組みによりキャリアの幅をひろげられたのですね。3つ目のターニングポイントは何でしょうか。

昆:3つ目は、スリーエム ジャパン(当時は住友スリーエム)に転職したことです。私は長く財務領域の業務に携わる中で、「財務的価値だけを上げることが、人々の幸せにつながるのだろうか?」という疑問を持つようになっていました。当時は、企業の社会的価値向上を志向する人は「利益を出している企業は悪だ」というスタンスで、財務的価値を向上させるというスタンスと敵対する関係にあったように思います。私はCSRに取り組むうちに、財務的価値と社会的価値の両方を向上させることが本来、財務担当としてあるべき姿なのではないか、と気付くことができました。

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