ブランドやイノベーションの前にある、「展望のデザイン」
こうした「デザインという行為」の必要性は国としても提唱しており、2018年5月に経済産業省・特許庁より報告書『「デザイン経営」宣言』という形で発信された。ここでは、デザインは企業価値向上のための重要な経営資源と位置づけられており、デザイン経営の効果には大きく「ブランド構築に資するデザイン」と「イノベーションに資するデザイン」の2つがあるとされている(*1)。
この2つは車の両輪のように同時進行で、なおかつ現場からのボトムアップで進める必要があるが、佐藤氏はその手前の段階として、その企業がそもそもなぜ存在するのか、企業が一番大切にしているものは何かなど、どういう未来を描き、それに向けてどういう事業を展開するのかという「展望のデザイン」が不可欠だと主張する。