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大手投資会社ブラックストーン・グループの創業者が明かす、採用面接を成功させる8つの心得

 数千億ドルを運用する大手プライベートエクイティ投資会社、ブラックストーングループの会長兼CEOであるスティーブ・シュワルツマン氏が創業のストーリーを語った『ブラックストーン・ウェイ』(翔泳社)。本書では挫折から始まった同社がいかに成功を収めていったかが説得力のある言葉で綴られている。当然、成功には人材が重要となるが、シュワルツマン氏はどのように採用を行ってきたのか。今回は本書からシュワルツマン流の「採用面接を成功させる八つの心得」を紹介する。

[公開日]

[編] 渡部 拓也

[タグ] 人材教育 企業戦略

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本記事は『ブラックストーン・ウェイ PEファンドの王者が語る投資のすべて』の「コラム 採用面接を成功させる八つの心得」を抜粋したものです。掲載にあたり一部を編集しています。

採用面接を成功させる八つの心得

 人材の才能をしっかり的確に評価できるようになることはどんな起業家にも欠かせない重要なスキルのひとつだろう。ウォール街で面接を受けていた若いころから、どうすればうまく才能を見きわめられるかをずっと考えてきた。

 金融という分野は有能で野心的で自分の足跡を残すつもりの人間であふれている。しかし有能なら十分かというとそうではない。わたしがブラックストーンで採用面接をするときは、その人間がわが社の企業文化に合うかどうかを考える。少なくとも「空港テスト」は必ずやる。飛行機が遅れて空港で足止めを食った場合、この志望者とふたりで待つ気になるか、と自分に問うテストだ。

 何千もの人を面接するなかで、わたしは独自の面接スタイルをつくりあげてきた。対話しようというこちらの意図に志望者がどう反応するか、相手のことばとことば以外の手がかりを組みあわせて判断する。決まったやりかたがあるわけではないが、どの面接でも目標にしているのは、相手を理解することで考えかたや人となり、ブラックストーンにふさわしい人材かどうかを評価することだ。

 まずはほとんどの面接官がするように履歴書を読んで面接に備える。書かれていることの一貫性に注意し、特異な点や特筆すべき情報があれば書きとめておく。わたしが履歴書を念入りに読みこんでいることに驚く志望者もいるが、ほとんどの志望者は自分に身近な話題や関心事についてこちらが質問すると安堵する。

 志望者とわたしの双方が興味をもちそうなことから会話をはじめるのを目標にしているが、どのようにはじめるかは同じ部屋で顔を合わせるまでわからない。方針は直観で決める。

 いきなり履歴書の特異な点からはじめることもある。ときには相手がひと言も発しないうちに身振りやしぐさから手がかりを読みとることもある。楽しそうかつらそうか、生き生きしているかぐったりしているか、興奮しているか緊張しているか、という具合だ。志望者を面接モードから自然な会話モードへ引きこめば、志望者がどんなふうに考え、反応し、変化に順応するか評価しやすくなる。

 志望者に質問する場合もある。社内の人間と会ってみて楽しかったか、社員は期待に沿う人たちだったか、この会社はこれまで面接を受けたり働いたりした会社とどうちがうかなど尋ねてみる。

 場合によっては、直前までやっていた刺激的な仕事について志望者に話し、どんな反応をするかためすこともある。ほとんどの志望者はそんなにすばやくわたしの世界に引きずりこまれるとは思っていないので、反応が多くを物語る。志望者は発言を控えるだろうか、積極的に対話する手だてを見つけるだろうか。思いがけない状況におどおどしたり落ちつきをなくしたりするだろうか。自分にはさっぱりわからない話題や経験でも共通点を見いだして会話を楽しめるだろうか。

 あるいは、こちらが興味をもっていることや話題性のあることについて尋ねてみたりもする。志望者がその話題をよく知っているようなら、対話の進めかたを観察する。自分なりの見方をもっているか。筋の通った分析的な判断をしているか。こちらの話がわからないとき、それを認めて会話を先に進める方法を見いだすか。それともわかるふりをするだろうか。

 考えてみれば、これはすべて不確かなものに対処する能力を評価することにほかならない。金融、とくに投資は新しい情報や人や状況にすばやく順応しなければならない動的な世界だ。会話というかぎられた範囲内でつながりをもち、積極的にかかわり、方向を変える能力を示さない志望者は、おそらくブラックストーンでうまくやってはいけない。

 わが社にはさまざまな人間がいるが、全員に共通する特性がある。自負心、知的好奇心、礼儀、新しい状況に順応する能力、プレッシャー下での情緒の安定、無欠陥(ゼロディフェクト=ZD)の精神、そして、誠実にふるまい、やることすべてにおいて最高を目指すという揺るぎない決意だ。人柄がいいこと――思いやりがあり気づかいができ節度を知っていること――も損にはならない。どんなに才能があっても人柄がよくなければ雇いはしない。ブラックストーンが社内権力闘争のない会社でありつづけることもわたしにとっては重要だからだ。有利な地位につこうと画策するようなところがある人間はわが社には必要ない。

 わたしの考える面接成功の心得を伝授しよう。

1 時間厳守。約束の時間を守ることは、どれだけ面接について考えたり準備をしたりしてきたかを示す最初の指標になる。

2 等身大で。面接は相互に評価する場であり、お見合いパーティと少し似たところがある。だれもがぴったりの相手を探している。身構えず自然体でいればありのままを気に入ってもらえる可能性が高い。自分という人間を知ってもらい、それで面接に合格すれば言うことはない。もしうまくいかないなら、おそらく自分にとってもふさわしい会社ではなかったということだ。知ったうえでつぎに進むほうがいい。

3 準備する。会社について調べておく。面接官は自分のまわりで起きていることを話題にするのが好きなものだ。加えて、そこで働いている社員が職場にどれだけ情熱を注いでいるかを聞かせてもらうよい機会でもある。志望のきっかけや理由を説明しよう。面接官は志望者の動機を聞き、それが企業文化に合うかどうか知りたがっている。

4 率直に。思ったことは恐れずにことばにする。面接官によい印象をあたえようとするより、ざっくばらんで誠実な会話を心がける。

5 堂々と。お願いする立場ではなく対等の立場で面接に臨む。ほとんどの場合、雇う側は対等に話ができる人材を求めている。もちろん横柄な態度はつつしむこと。

6 好奇心をもつ。よい面接は双方向的だ。質問し、助言を求め、面接官に職場で働いてなにがもっとも楽しいか尋ねよう。面接官を会話に引きいれる方法を見つけ、会話が一方通行にならないようにしたい。面接官も話したがっているし、自分が知っていることをわかちあいたいと思っているものだ。

7 意見がわかれる政治問題には触れない。もし尋ねられたら正直に答える。自分の考えとなぜそう思うのかを説明するにとどめ、議論がましくならないようにする。

8 社内にいる知人の名前を出すのは、その人を好きで尊敬できる場合だけにする。人を見る目がそこで判断される。

ブラックストーン・ウェイ

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ブラックストーン・ウェイ
PEファンドの王者が語る投資のすべて

著者:スティーブ・シュワルツマン
翻訳:熊谷淳子
発売日:2020年10月14日(水)
定価:2,600円+税

「決して、損失を、出すな」
これが、世界屈指の投資会社、ブラックストーン創業者のあまりにシンプルすぎる鉄則。

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