外国人市場の将来的変化と採るべき対策
この大きな“外国人市場”は、今後どう変化していくのだろうか。「インターネット上で接する外国人」を調査すると、現状では25%が英語ユーザーで、非英語ユーザーは75%にものぼる。非英語ユーザーの上位をみると、中国語(19.3%)、スペイン語(7.9%)、アラビア語(5.2%)、ポルトガル語(3.9%)、マレー語(3.9%)、フランス語(3.3%)、日本語(2.7%)と続いており、中国語以下の7か国語で46%を占めている。
この調査を見ると、英語と日本語だけでサービスを提供していても、28%程度しかアクセスできないことがわかる。
非英語ユーザーの割合は、今後さらに増加していくと考えられている。現状は30億人の非英語ユーザーが、将来的には50億人に増え、割合としては85%までが非英語ユーザーになると言われているのだ。将来を見越すと、非英語ユーザーに向けたサービス提供の重要性は増してくる。
「母国以外に住む外国人」に関しても、人口減少傾向にある日本においては重要性が増していく。インバウンドの経済効果は多くのところで語られているが、年間3,100万人の訪日外国人の消費額が4.5兆円なのに対し、在留外国人273万人の年間の消費額は現時点でも4.9兆円である。今後、少子高齢化、労働人口減少が起こることが確実視される中、在留外国人へのアプローチの重要性も増していく。
こういった状況で“グローバル化”から“国際化”へと、発想の変化が起こっていると小林氏は話す。“グローバル化”は、GAFAに代表されるインターネット企業が国境を関係なくどんどん広がっていくように“境目がない”状態を指向するものだった。しかし、こういった状態に対して、EU一般データ保護規則(GDPR)などのように、利用者保護のための法整備がなされたり、デジタル税の導入が検討されたりと、各国でヒト・モノ・カネを分断させる方向で施策が増える可能性がある。
そこで考えていく必要があるのが“国際化”である。この“国際化”が意味するのは、国境を意識しつつ取引を行うことだ。言語・文化・習慣が異なり、さらに今後生まれる可能性のある法制度、税制等様々な規制にも対応しつつ、国境を越えた取引を考えていく必要がある。