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越境者-振り子の思考のイノベーター

文化人類学×デザインの越境1:想像力の飛距離を伸ばす

対談:文化人類学者 竹村真一 氏 × takram 渡邉康太郎 氏 前編

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情報環境デザインの失敗を越え“想像力の飛距離を伸ばす”

渡邉:
 ボルネオで見たマラドーナの5人抜きが、地球大のスケールで、数億人の細胞が同時に震える場を提供できると気づかせた。この原体験はとても興味深いものがあります。けれども、その原体験も始めは「もしかしたら」、という感覚だったかもしれません。その、まだあいまいな感覚が、確実性のある「実感」に変わる瞬間に、人は大きな感動を覚えるのではないかと、いつも考えています。竹村さんの言葉で、私が好きな言葉の一つに「想像力の飛距離を伸ばす」というものがあります。人の想像が実感をともなう瞬間、まさに「離陸」した瞬間に感動があるとしたら、竹村さんの仕事は、いろんな人の想像力の滑走、加速をお手伝いすることなのかもしれません。

竹村:
 「飛距離を伸ばす」とわかりやく表現していますが、それは「多くの人がもっと大きな飛距離がもてるはずの時代にいる」と私が捉えているからです。人類が、かつて50年前に月に行き、それによって宇宙を見る視点がより高解像度なものとなりました。それまで意識することのなかったものを認識できるようになったことで、より空間的な視野をもてるようになったのです。

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