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ローランド・ベルガー、食品・飲料、小売、外食業界に関する最新スタディ「サステイナブルな食の未来」発表

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 ローランド・ベルガーは、食品・飲料、小売、外食業界に関する最新スタディ「サステイナブルな食の未来」を発表した。

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 本スタディでは、サステイナビリティの視点で捉えた食分野の課題や未来像について考察した上で、海外先進企業の取り組みも踏まえて、国内企業が進むべき道について示唆を抽出している。本スタディは、以下の要旨で構成されている。

「サステイナブルな食の未来」要旨

 近年SDGsに対する各種報道が増えてきている通り、「サステイナビリティ」は企業だけでなく生活者にとっても身近な話題となってきている。とりわけ、食産業は人間の生命の根幹にあり、他方で環境負荷が高い産業であることも知られ、将来に渡って人間が地球と共存していく上でそのサステイナビリティを担保する重要性は強調する間でもない。

 食産業に限らない話であるが、生活者のサステイナビリティに対する感度やNGOによる民間事業者へのプレッシャーの違いもあってか、CEOアジェンダの根幹にサステイナビリティを据える動きは、欧米と比して日系企業では相対的に遅れてきた。実際、世界経済フォーラムの年次総会であるダボス会議にて発表されている「世界で最も持続可能な企業100社」の顔ぶれを見ても、2021年にランクインした日系企業数は、アジアでは首位であるものの5社に留まる(エーザイ、シスメックス、コニカミノルタ、積水化学工業、武田薬品工業)。同ランキングにおいては、欧州企業が46社、北米企業が33社と、欧米勢が大半を占める。

 誤解してはならないのは、サステイナビリティは決して従来のCSR活動の延長に位置する「守り」の経営アジェンダではなく、むしろ、競争優位性を構築するための「攻め」の武器となりうるという点だ。逆に、対応が遅れれば、サステイナビリティが近い将来「企業として活動を続けるにあたり"当たり前"の前提」となっていく中で、市場から排除されることにもなりかねない。

 では、サステイナビリティという観点で捉えると、食の未来はどのようになっていくだろうか?そこには大きく3つのドライバーが作用すると考えられる。即ち、(1)気候変動の進展(2)テクノロジーの進化(3)サステイナブルな消費行動の浸透、である。

 まず、気候変動が更に進めば、温室効果ガスの排出に大きく寄与する食料の生産・消費が大きく制限される未来が訪れることは想像に難くない。具体的には、例えば牛を始めとする家畜の頭数が大きく制限され、肉が超高級食となり、代わりに植物肉や昆虫食がメジャーなたんぱく源となる世界だ。

 また、テクノロジーの進化もサステイナブルな食の生産・流通・消費活動を後押しするだろう。例えば、都市型の植物工場や3Dフードプリンターが普及し、ゲノム編集や農業・水コントロール技術の進化により劣悪な環境下でも農業が可能となれば、食の地産・地消が当たり前となり、物流による環境負荷である「フードマイレージ」が極小化された世界が実現されるだろう。

 更に、これらドライバーの進展とも相まって生活者の間でサステイナビリティへの意識が高まれば、「サステイナブルであること」は商品選定において重要な購買意思決定要因となり、そうでない商品・企業は市場から排除されることになるだろう。これは、生活者に密接に関わる産業である食産業(食品小売り、外食、飲料・食品メーカー等)にとって見過ごせない変化となる。サステイナブルな消費行動は、現状は生活者一人ひとりの自発的な行動に近いが、未来を見据えると、一次産品・加工食品・外食産業で振舞われる料理や、生活者の行動1つ1つの「サステイナブル度合い」(環境負荷の小ささ、人権・倫理の順守度合い等)が完全に「見える化」され、その度合いを高める消費行動がインセンティブ化されることも想像に難くない。

 商品・サービス・消費行動のサステイナブル度合いの見える化が進めば、例えば政府がサステイナブルな商品・サービスに有利な税制を導入したり、生活者がためた「サステイナブル・ポイント」をショッピングに活用できるようになったりと、社会貢献意識を超えて経済的にも、「サステイナブルであること」が生活者の購買意思決定要因として絶対的な基準となることも想像に難くない。足許でも、既にコロナ禍において生活者の社会貢献意識、サステイナブルな消費への注目度は日本国内も含め益々高まりつつある。

 このように未来に思いを馳せると、川上から川下に至るまで様々な変化が想像できるが、いずれにせよ言えることは、食に関わる消費行動やサプライチェーンが大きく様変わりしていく中で、核となるテクノロジーを押さえ、自社に有利なサプライチェーンをいかに他社に先駆けて構築できるかが肝になるということだ。

 実際、欧米先進企業は、サステイナビリティを切り口に自社に有利なサプライチェーンを戦略的に創り上げてきた。例えば、ウォルマートは独自の「サステイナビリティ・インデックス」を導入し、サステイナブルでない商品を自社の棚に置けないような基準を課している。即ち、サステイナビリティという切り口でサプライヤーに対してウォルマート基準のルールを順守させ、サプライヤーをコントロールし、自社に有利なサプライチェーンを構築する切っ掛けとしている。また、その取り組みを生活者・社会に対して積極的に発信することで、サステイナブルであることが企業活動の大前提となっていく中で、ウォルマートの水準で取り組みを行えない事業者を市場から排除する契機としているとも捉えられる。このような取り組みは一部の先行した欧米巨大企業にしか実践できない話かというと、そうではなくむしろ、食のサプライチェーン自体に変化の兆候が見える中で、日系企業にとっても今がアクションを取るべき好機と筆者は考えている。

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BizZine編集部(ビズジンヘンシュウブ)

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