「イノベーターDNA診断」とは何か、その特徴とは
アップルのスティーブ・ジョブズ、アマゾンのジェフ・ベゾス、セールスフォースのマーク・ベニオフといったイノベーションを成功させた人たちに共通する秘訣や素質は何か? クレイトン・クリステンセンらは、8年以上もの時間をかけ20名以上の起業家と3,000名以上の世界的企業の経営者を研究した結果、イノベーションは「知性」「発想力」や「ひらめき」といった頭脳の違いではなく、課題を発見する「発見力」と呼ぶ“行動特性”がカギとなっていることを解明した。しかも、この発見力は後天的に鍛えられるという。この後天的に鍛えるべき「発見力」を計測するための診断ツール「イノベーターDNA診断」は、INDEE Japanが日本に導入して以来、1,500名以上が受診してきた。これらのデータを通して見えてきた日本人と日本企業についての興味深い乖離について解説する。
「イノベーターDNA診断」はイノベーションを成功させる人が持つ行動特性を指標化し、計測するために開発されたウェブ診断ツールである。書籍『イノベーションのDNA』をクリステンセンと共同で執筆したジェフリー・ダイアー、ハル・グレガーソンらは、米国でInnovator’s DNA社を設立、開発を手掛け、現在世界中に提供している。私たちINDEE Japanは日本語版の開発を行い、現在国内に展開している。
この診断を受けることで、イノベーションにつながる行動特性を自己認識し、能力開発の一歩目となる現状把握が可能となる。イノベーションとは何か? どのような特性が必要なのか? 曖昧になりがちなコンピタンスを明確に指標化している点がこのツールの特長である。診断後も、結果をチーム内で共有することでお互いの強みや弱みを理解し、新規事業に適したチームビルディングに活用されている。さらに組織的に受けることで、全体の立ち位置を把握し、イノベーションに適した人材の発掘に利用されているのだ。イノベーターDNA診断では、日常の「優秀さ」として評価されがちな業務遂行能力である「実行力」と、イノベーション機会を発見する「発見力」をそれぞれ独立に評価することができるため、普段は目立たず埋もれているイノベーション人材を見つけ出すことを可能にしている。