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ビジョナル南社長とビズリーチ多田社長に聞く、創業社長から二代目社長への事業承継の極意とは

第3回「M&Aサクシードキャンプ」レポート:後編

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創業5、6年目には承継を決めていた

嶺井 政人氏(グロース・キャピタル株式会社 代表取締役社長、以下敬称略):まずは自己紹介、社長交代に至る経緯からお願いします。

多田 洋祐氏(株式会社ビズリーチ 代表取締役社長、以下敬称略):2020年2月にビズリーチの2代目社長に就任しました。もともと、入社前はヘッドハンティングファームを経営しており、私自身もヘッドハンターとしてビズリーチを使うユーザー側でした。その後、2012年に当時まだ社員30人くらいの規模だったビズリーチに入社し、ビズリーチ事業部長、2014年にはHR Techカンパニー長として、HR Tech領域の事業をやり続けて、昨年、株式会社ビズリーチの社長就任、そして今に至ります。

南 壮一郎氏(ビジョナル株式会社 代表取締役社長、以下敬称略):2009年にビズリーチを創業し、5、6年目にはもう「10年目くらいには次世代の経営者にバトンタッチすべき」と考えていました。その時点で「後任は多田でいく」と腹が決まっていたのですが、4、5年の伴走期間を経て社長交代となりました。

 ビズリーチは創業以来の採用、人材活用の領域の事業に加えて、現在では物流やM&A、サイバーセキュリティなどの事業も手がけています。グループ会社を支援するホールディングカンパニーであるビジョナルを新設し、2020年2月にグループ経営体制に移行したことが現体制のスタートになっています。

嶺井:南さんはビジョナルの代表取締役社長に就任し、各事業会社を支える形に移行したわけですね。

南:そうです。ビズリーチ事業を含めたHR Tech事業を経営する株式会社ビズリーチに関しては、私を含めた創業からの取締役が全員退任し、多田と多田を中心とした新経営チームにバトンタッチしました。現在もグループ全体の売上の約8割はビズリーチ事業が占めているため、まだグループ経営体制に移行し切れたとは必ずしも言えません。ここから他事業がさらに大きく成長して、本当の意味でのグループ経営を実現したいと思っています。

嶺井:社長交代の目的はどこにあったのでしょうか。

南:いろいろ理由はありますが、僕と多田の経営者としての特性が大きく異なる点が重要でした。僕は暗闇の中に突っ込みながら、社会や業界の本質的な課題を見抜いて新しい事業をゼロイチで作るところが得意です。自分がどういう役割を担えば一番Visionalに貢献できるのかと考えたら、既存事業や組織を日常的にマネジメントしてさらに大きく成長させていく役割よりも、既存事業の大きな方向性を支えながら、また新しい事業を立ち上げていく役割の方が、会社に貢献できると感じました。創業5、6年目の頃に自分なりに自分の将来の役割分担を決めて、そこから創業からの経営パートナーである竹内(現ビジョナル株式会社取締役 CTO)と永田(現ビジョナル株式会社取締役/ビジョナル・インキュベーション株式会社代表取締役社長)と力を合わせながら、多田中心の体制を準備していきました。事業と会社の未来のために、本来あるべき姿を目指したというのが今回のバトンタッチの背景です。

嶺井:多田さんは最初に打診された時にどう感じられましたか。

多田:打診されたのは結構前で、2019年の初頭。隔週でやっている南との1on1の場で「グループ経営体制への移行を考えていて、そうなった時には多田さんにビズリーチ社の社長を引き継いでもらいたい」という相談がありました。最初はどちらかというと、グループ経営体制に移行することへの疑問を感じたというのが、自分の率直な受け止め方でした。ビズリーチという会社はそれまで創業社長である南が醸し出すカラーで成長を続けてきた会社。世間的にも「ビズリーチ=南壮一郎」というイメージがある中、それを継ぐことに正直自信がないと話しました。その時は「そうか」と、別に反論されるわけでもなく終わりましたが、最終的に2019年のゴールデンウイーク明け、全取締役を集めた会議で話す中で、自分自身も覚悟が決まったと記憶しています。

嶺井:最初は難色を示したとのことですが、最終的に引き受けた理由は何でしょうか。

多田:本人を前にしてこれを話すのは初めてですが、「もうこれ以上抵抗しても無駄だ。ここで覚悟を決めて頑張ってみよう」と。取締役らを集めて話す中で南がその話をし始めて、もちろん異論も含めていろいろな意見が出たのですが、最後は南が「僕は多田さんを社長にしたい。それだけだ!」と感情を剥き出しにみんなへ言い放ちました。そこで「ここまで言われたら、その思いに応えるしかない」と感じました。それまではどこか心の中に迷いもあったのですが、その時に「わかりました」と腹をくくりました。

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