マトリックスは少し先の未来-「心」がエンジニアリングの対象となる
著者が提示する可能性の1つとして、「記憶の未来」に関して言及している部を紹介したい。映画「マトリックス」では、“カラテ”のデータを脳に直接インストールして、瞬時にカラテの能力を獲得するシーンがある。本書を読むと、記憶のインストールがもはやSFではなくなることに気付かされる。
記憶のメカニズムはいまだ謎に包まれているが、少しずつ解明が進んでいるようだ。その一例が「忘れる」ことの研究である。
「百科事典の何ページの何段落目の記載はこうである」と言い当てられる天才がいる(「写真記憶」と呼ばれる)。彼らは、覚える力が高いのではなく、忘れる能力が低いのかもしれない。