キャッシュレス決済市場/非接触決済の伸長
Visaのタッチ決済などの非接触決済対応カードの普及が進み、日本国内の非接触決済対応カードはVisaブランドだけでも約5,100万枚(2021年6月末時点)、Visaのタッチ決済の取引件数も直近1年間で約5倍(2021年6月末時点)に急拡大している。また、利用店舗に設置されている端末も、タッチ決済対応端末の設置が進み、直近2年間で約6.7倍に拡大(2021年6月末時点)、利用可能な店舗も順調に広がっているという。
三井住友カードでは、2021年2月に「三井住友カード(NL)」の発行を開始。従来のクレジットカードと異なり、カード券面からカード情報の表記をなくしたナンバーレス仕様のカードになっている。これを機に、クレジットカードとアプリの一体的なご利用を “キャッシュレス時代の新しいスタンダード” として提案。店頭での買い物ではカード情報の表記をなくしたナンバーレスカードで安心安全に、インターネットによる買い物ではVpassアプリでカード情報を確認できるので、スムーズに利用ができるとしている。
また、2021年7月には、よりクレジットカードの利用が多い顧客向けに「三井住友カードゴールド(NL)」を発行。従来のゴールドカードならではの付帯サービスに加えて、利用額に応じて年会費を永年無料にするなど特典を強化することにより、三井住友カード発行の従来カード対比約10倍以上の申し込みがあったと述べている。
2021年2月の発行開始以来、ナンバーレスシリーズは約68万枚以上の申し込みがあったという。
モバイル決済の状況
キャッシュレス決済の普及拡大により、コード決済、プリペイド式決済、クレジットカード決済など、顧客が利用する決済方法も多種多様化した。クレジットカードの利用についても、スマートフォン経由での利用、あるいはコード決済への紐づけなど、クレジットカード現物以外の支払い方法を選択される顧客も増加している。インターネットによる買い物についても、店頭での買い物についても、モバイル決済の浸透率が急激な高まりを見せており、スマートフォンさえあればあらゆる事に対応できる時代になった。Apple Payなどのモバイル決済手段の普及拡大に合わせて、三井住友カードにおいても、大変多くの顧客がモバイル決済を利用しており、モバイル決済を通じた利用金額も着実に増加。
三井住友カードでは、この時代に即した“デジタルファースト”での利用の流れを汲み、新たなキャッシュレス エクスペリエンスのひとつとして、プラスチックカードの発行を行わないカードレス仕様の「三井住友カード(CL)」を提供。例えば、スマートフォンから申込後、最短5分でカード番号を発行、すぐにインターネットでお買い物ができるほか、Apple Payといったモバイル決済サービスに登録することで、Visaのタッチ決済などで店頭での買い物も即時で可能となるという。
提携カードへの展開
1:モバイルペイメントの大手LINE Payの取り組み
LINE Payと三井住友カードの2社は、2020年10月30日発表の「三井住友カードとLINE Payによる戦略的業務提携の推進について」のとおり、両社では、新しい決済体験・カード文化を創造し、新しい時代に即したキャッシュレス決済の実現を目指している。
LINE Payと、クレジットカードの大手である三井住友カードの組み合わせにより、「LINE Pay」の利用場所を大きく拡大するとともに、シームレスな顧客コミュニケーションとセキュアな決済を融合し、安心・安全かつ使いやすい決済体験をユーザーに提供。LINE Payはコミュニケーションアプリ「LINE」のユーザー基盤、三井住友カードは国内最大規模の加盟店網を誇り、両社の提携により幅広い ユーザー・加盟店をカバーする新たなキャッシュレス経済圏を構築し、決済だけにとどまらない新たな付加価値の提供を目指す、としている。
三井住友カードの発表に併せて、LINE Pay、三井住友カードで発行する「Visa LINE Payクレジットカード」においても、三井住友カードとの提携カードとしては初めて「カードレス」を開始。「LINE Pay」申込み後、カード番号が採番されると同時に、アプリそのものが決済デバイスとなり、ユーザーは、財布だけではなくプラスチックカードの持ち運びも不要となり、今まで以上に利便性が向上するという。2021年5月10日より、「LINE Pay」の支払い機能「チャージ&ペイ」の登録可能な対象カードを拡大し、LINEクレカに加えて、三井住友カードが発行するVisaブランドのクレジットカードの登録も可能となっている。
2:「ANAカード」の取り組みと今後について
世界におけるVisaのタッチ決済普及状況は、対面決済の3件に2件はタッチ決済が利用されており(2021年2月時点、米国を除く)、近年ますます拡大。欧米諸国をはじめ、多くの国と地域の公共交通機関(電車、地下鉄、バス等)で、Visaのタッチ決済が導入されているという。
ANAは“旅と日常が交差する新しい暮らしを ANAカードで”をテーマに、三井住友カードと「ANAカード」を発行。グローバルに活躍される多くの顧客を有する「ANAカード」では、キャッシュレス取引を取り巻く“コンタクトレス”の“世界的な潮流”をいち早くキャッチし、顧客にクレジットカード1枚で世界中いつでも・どこでも、快適な生活を送っていただけるよう、2019年3月より非接触決済搭載カードへの切り替えを開始。
三井住友カードのキャッシュレス決済戦略について
三井住友カードは、日本におけるキャッシュレスのリーディングカンパニーとして、事業者・利用者双方の「お客さま起点」でキャッシュレスへの課題解決を目指すという。
事業者起点では、次世代決済プラットフォーム「stera」を構築、店頭・EC双方の決済インフラをパッケージで提供することで、双方の決済データの統合を実現。また、オールインワン端末「stera terminal」一台でクレジットカード、電子マネー、QRコードなど、さまざまな決済手段の受け入れが可能となる業界最高水準の環境を実現。事業者が抱えるデータ活用やマーケティングの課題の解決として、保有する膨大なキャッシュレスデータを統計化し、取引先などに対するデータ分析支援サービス「Custella」を同年10 月より提供開始した。
一方、利用者起点に関しても、急速なキャッシュレスの普及に伴いさまざまな決済手段が乱立するなか、実際にキャッシュレスをご利用される顧客が、未だかつてなかった「安心・安全」・「便利」・「お得」を実感できる新たなキャッシュレス決済エクスペリエンスの準備を進めてきたという。