問題解決思考を脱するために必要な「他者の存在」
長岡:僕はこの本を学生や若いビジネスパーソンに読んでもらおうと思って書きましたが、若い人たちの多くは、長期的な視点で、継続的に少しずつ改善していくことが苦手なようですね。
それはひとつには、「問題解決」という発想が強いからだと思います。与らえたゴールを所与として、そこからバックキャスティングして、合理的にプロセスを計画すると、あとは目の前に現れた「問題」を順にクリアしていけば、自然とゴールにたどりつくと思っている。「完全情報ゲーム」の世界で、起こりうる状況を全て見通せているならそれで上手くいくのですが、残念ながら、僕たちは見通しのきかない世界に生きています。想定していた状況は刻一刻と予想外の方向に変わります。途中でルートを変えなければいけないし、当初目指していたゴールすら変わる。だから、常に試行錯誤しつづけなければいけない。若い人たちはそういう不安定で不確定で曖昧な状態がすごく苦手なので、外科手術的な明快さに憧れてしまいます。