「大きな谷」は、教育者とサービス開発者の間にもある
昨今のテクノロジーをベースとしたイノベーションは、すべての業種・業態に及んでいます。もはやIT業界というものは存在せず、あらゆる業界にテクノロジーが横串に通っている状態です。つまり、すべての人の共通スキルとしてITリテラシーが必要になると考えていますが、教育業界においては、「教育の分かる開発者」や「テクノロジーの分かる教育者」が圧倒的に少ないように感じています。ここにも大きな谷があり、これが教育の情報化、IoT化が進まない理由だと思います。
私は、毎年3月にテキサス州オースティンで開催される「SXSWedu(サウスバイサウスウエストの教育部門)」という、EdTech系のカンファレンスに参加しています。オースティンは、シリコンヒルズと呼ばれ、西海岸のシリコンバレー、ニューヨークのシリコンアレーと並んでベンチャー企業育成が盛んな街です。6000人の参加者の多くは教員や教育関係者で、毎年、最先端の議論や展示が行われています。
そこで、「Startup Crawl」といって、SXSWedu参加者たちが地図を片手に、街に点在するベンチャー企業を訪問するという非公式プログラムを見ました。このプログラムでは、多くの教育関係者とベンチャー経営者やエンジニアが交流し、お互いの立場から意見を交わしていました。こうした接点づくりがあって、教育イノベーションのタネが生まれてくるのだと実感しました。
アメリカ最大級のEdTechメディアであるedSurgeも「Tech for School Summit」という教育者とEdTechプレーヤーの交流を図るカンファレンスを全米各地で開催しています。