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DXの次のパラダイムシフト「QX」

住友商事 寺部氏・蓮村氏が語る、DXの次のパラダイムシフト「QX」──量子コンピュータで世界を変える

第1回 ゲスト:住友商事 QXプロジェクト 寺部雅能氏、蓮村俊彰氏(前編)

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 今、「量子コンピュータ」が注目を集めています。本格的な実用化はまだまだこれからですが、世界中で量子コンピュータの特性を活用したアプリケーションの探索が進んでいます。本連載では、量子コンピュータの活用に先進的に取り組んでいる挑戦者たちへの取材を通して、近い将来起こるであろうDXの次のパラダイムシフト「QX(Quantum Transformation)」について掘り下げていきます。  第1回は、量子コンピューティングを使って新たな産業を創っていくことを目標とした「Quantum Transformation プロジェクト」を推進している、住友商事株式会社の寺部雅能氏と蓮村俊彰氏にお話を伺いました。聞き手は株式会社ビザスクの高橋沙織氏です。 ※取材はマスクを着用し、ソーシャルディスタンスを保って行っています。

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ハードウェアのエンジニアだった寺部氏が量子コンピュータに挑戦する理由

高橋沙織氏(以下、敬称略):まずは、寺部さん、蓮村さんが現在どんな領域で仕事をされているか、教えていただけますでしょうか。

寺部雅能氏(以下、敬称略):量子コンピューティングを使って新たな産業を創っていくことを目標とした「Quantum Transformation プロジェクト(QXプロジェクト)」を設立し、主導しています。今後、地中から宇宙まで、様々な領域が量子コンピューティングによって大きく変革されていきます。このプロジェクトでは、その変革をリードすべく、量子コンピューティングでどのような価値を社会に生み出せるかを探索しながら、未来のアプリケーションや新しいビジネスを創っています。

 私は最初から商社マンだったというわけではなく、自動車系のエンジニア・研究者を13年ほどやっていて、2020年に住友商事に転職しました。エンジニアとして技術を突き詰めたとしても、世の中を変えることはできないと感じたことがきっかけです。

高橋:それはなぜですか?

寺部:事業を創る側からすると、最初に「このアプリケーションを作りたい」と考えます。それに適合しないハードウェアやソフトウェアは事業に選ばれません。つまり、未来のアプリケーションを見越している人でなければ、実際に使ってもらえる新たなハードウェアを作れないのです。これが非常に難しいんですよね。特に日本の技術者の間には「良いものを作れば誰かが使ってくれる」という技術信仰があるのですが、実際には「どこよりも良いものを作る」こと以上に「アプリケーションとセットで考える」という概念が大事なのです。ところが、アプリケーションは待っていても飛び込んできませんし、ハードウェア開発の長い開発時間を考えると、アプリケーションができてからでは遅いのです。

 約7年前になりますが、初めて量子コンピュータを見たときに、「今はハードウェアそのものが注目されているが、キラーアプリケーションが出てくることで、このハードウェアの生きる道が決まる」と感じました。研究者時代には、自分が開発した技術が使われず、悔しい思いをたくさんしてきました。だからこそ、量子コンピュータの領域で日本が負けないよう、また、研究者たちが生み出した技術が本当に活かされるよう、アプリケーションを作る側に挑戦しなくてはと感じたのです。

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この記事の著者

佐藤 友美(サトウ ユミ)

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