経済産業省は、2020年9月に公表した『人材版伊藤レポート』に「実践事例集」を追加する形でまとめた『人材版伊藤レポート2.0』を発行した。
同省は、人材版伊藤レポートが示した内容を深掘りするため、「人的資本経営の実現に向けた検討会」を設置し、これまで議論を重ねてきた。
人材に関する注目度が高まる中で、企業の中でも人的資本に関する課題が認識され始めている。
たとえば、デジタル化や脱炭素化、コロナ禍における人々の意識の変化など、経営戦略と人材戦略の連動を難しくする経営環境の変化が顕在化し、非財務情報の中核に位置する「人的資本」が、実際の経営でも課題としての重みを増してきているという。
また、2021年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードにおいては、人的資本に関する記載が盛り込まれた。
同報告書は、「人的資本」の重要性を認識するとともに、人的資本経営をどう具体化し、実践に移していくかを主眼としており、それに有用となるアイディアを提示するものだという。
なお、すべての項目にチェックリスト的に取り組むことを求めるものではなく、事業内容や置かれた環境によって、有効な打ち手は異なるとしている。
同省は、同報告書をアイディアの引き出しとし、経営陣が人的資本経営へと向かう変革を主導していくことを期待すると述べている。