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経営変革の「思想」と「実装」

モーセに学ぶ、適応型リーダーシップ──ケアにより「依存」ではなく「能力」を生み出す役割とは?

第6回ゲスト:ハーバード・ケネディスクール ロナルド・A・ハイフェッツ氏【後編】

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 宇田川元一准教授と、『最難関のリーダーシップ』『最前線のリーダーシップ』の著者であるロナルド・A・ハイフェッツ氏の対談。前編では「適応課題」にどう気づくことができるか、変革と蓄積された歴史や文化との関係について、ハイフェッツ氏の見解が語られた。後編では、「組織やコミュニティの能力を引き上げる」という真のリーダーのあるべき姿が、過去の事例や聖書の逸話を用いて描写される。ケアにより「依存」ではなく「能力」を生むリーダーの役割、「適応型リーダーシップ」とは何か。

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リーダーシップとは「依存」ではなく「能力」を生み出すこと

宇田川元一氏(以下、宇田川):ハイフェッツ先生は、リーダーたるものは、自分の力で問題を解決して評価されるという誘惑に打ち勝たないといけないとお考えですね。それはなぜでしょうか。

ロナルド・A・ハイフェッツ氏(以下、ハイフェッツ):私はコロンビアのウリベ大統領の顧問をしていたことがあります。彼は非常に成功した大統領で、2期目の途中、3期目に出馬できるように(3期連続の再選を禁止していた)憲法の改正を望んでいました。周囲の者も彼にそれを勧めましたし、国民の8割が彼を支持していました。

 しかし、私は彼に言いました。「大統領、リーダーシップとは、依存ではなく人々に能力を生み出すことです。今この問題に向き合わなければ、4年後にこの問題に直面することになります。あなたの内閣を見てください。そこにはあなたと同じ考えの部下たちがいます。あなたの仕事は、彼らの能力をあなた以上に伸ばし、あなたを超えて新たな方向へと迎えるようにすることです」と。残念ながら彼は、すべての答えを持つ特別な存在であることに溺れ、彼の周りの人々の能力を高めるという仕事ができませんでした。

 結局、憲法改正は叶わず、フアン・マヌエル・サントスが次の大統領になりました。サントス大統領は前大統領の方針を転換し、50年にわたる内戦で社会の混乱を引き起こしてきた反政府勢力との和平合意を成し遂げ、ノーベル平和賞を受賞しました。しかし現在も、コロンビア社会は苦しんでいます。それは、カリスマであり続けたいという執着心を持った前大統領が、退任後も社会の分断を引き起こすような発言を繰り返したからです。

 彼は、大統領であった時は偉大な業績を残しました。しかし、リーダーシップとは依存ではなく能力を生み出すことなのです。指導する立場になった当初から、自分が辞める時の計画を立てておかなければなりません。それが10年や20年後のことであっても、最初から人々の能力を高めることを考えなければいけないのです。そして、自分が指揮するすべての瞬間を、下にいる人たちの能力を高め、同じこともしくは、それ以上のことができるようにトレーニングする機会だと捉えるべきです。そうすることで、依存文化を強化するのではなく、指導者を超え、次世代の人々へ引き継いでいくことができる自律的な組織ができていくのです。

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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