文化的DNAを保持する経営変革、依存ではなく能力を生む適応型リーダーシップ
ロナルド・A・ハイフェッツ氏との対談を終えて(宇田川元一)
私の思索にとって大事な本は何冊かありますが、ロナルド・ハイフェッツさんの書いた『最前線のリーダーシップ』は、そのうちの重要な一冊です。
この対談を通じ、自分の中でずっと抱えてきた「企業変革」についてのモヤモヤが晴れるような気がしました。ひとつは、変革は革命ではない、ということです。日本の社会の衰退を前に、私たちは焦るあまり、革命的に過去をすべて否定し、新しいものを打ち立てようと考えます。しかし、それは現実的ではないし、変革には長い時間がかかるものだとハイフェッツさんは明確に述べています。むしろ、対談に登場したGoogleの例やアメリカの建国の例のように、一見全く新しいものに見えても、チンパンジーと人間のDNAがほとんど同じであるように、ほとんどの文化的DNAは引き継がれています。そして、文化的DNAの一部のみが捨てられ、新たなものが付け加えられたのだということを述べます。であるならば、私たちの社会は、未来のために、何を受け継ぎ、何を捨て、何を新たに取り入れていくことが必要でしょうか。