迅速・柔軟・低コストを兼ね備える「アジャイル型マーケティング」実現の基盤とは?
ジャイアントイーグル社やザ・コーヒークラブ社のように、ユーザーを細かくセグメント化し、ユニークな施策を素早く実現させたいときに意識すべきことがある。それは、「突然の事業環境変化にも対応できる、次世代型のマーケティング基盤を活用できているか」だと佐藤氏は述べる。
世にあるマーケティング基盤は、大きく「従来型」と「次世代型」の2つに分けられるという。
従来型マーケティング基盤とは、単一ベンダーによるAll in Oneパッケージになったもので、CRMやCDP、それらに付随するシステムを丸ごと購入し、システム統合を行っていく大掛かりなものだ。基本的に、そのベンダーから提供される製品間での連携が前提になるほか、個別製品の機能拡張も限定的で、施策を打ち出すまでのスピード感も緩やかになる。
また、導入時のシステム連携に多くの工数と多額の投資が必要で、SIerによる大規模設計・開発サポートなど、導入時には見えにくかった投資がかさんでいくことがある。
導入に要する時間が多くなりがちな点も、悩みのタネになるだろう。初回施策を実行するまでのリードタイムが長くなる上、マーケティング施策を改善する際に追加で大規模なシステム改修コストが必要となるため、DX時代に求められているスピード感が損なわれてしまう。
では、もう1つのマーケティング基盤のタイプである、「次世代型マーケティング基盤」とは何だろうか。佐藤氏はその概念を説明する。
「次世代型のマーケティング基盤では、複数ベンダーの優れたソリューションを柔軟に組み合わせる「Best Of Breed」の考え方を前提としているのです。Brazeの製品も、それを前提としたシステムアーキテクチャを備えています。CRMならCRMの専業会社、BIならBIの専業会社というように、各領域のソリューションごとに柔軟な投資が可能なため、機能拡張スピードも迅速になるでしょう」(佐藤氏)
導入時もAll in One型とは異なり、特定の領域のソリューションにのみ集中的な投資を行うスモールスタートが可能だという。必要な機能を満たして素早く導入し、スピーディに施策実行まで進めるほか、施策の成果をもとにした都度の小規模なシステム改修が可能なため、アジャイル型での施策・検証・改善を実現。顧客ニーズの変化に柔軟に対応できる。
データ管理を担うDWH(データウェアハウス)にすでに収集されているデータを、そのまま次世代CRMに流し込み、すぐにデータ活用を実践することも可能だという。すでに似たような機能を持つシステムがあるのに、二重にデータ管理コストを支払うなどといった事態を回避できる上に、施策を実行に移すまでの時間も短縮できるだろう。
従来型では、データ活用の施策を素早く打とうにも、ツール導入に時間がかかり過ぎてしまい、導入が完了した時点で社内外の環境変化がすでに起こっていて、当初の想定とプロジェクトが異なってしまうことがあった。そうした意味で、次世代型マーケティング基盤のスピード感、および柔軟性は、遅延リスクや失敗リスクを抑えられる利点も備えているのである。
「これからの時代、グローバルで競争していくためには、企業規模を問わず急速な変化へ対応できるようにならなければいけません。それはマーケティング領域でも同様で、アジャイル型マーケティングの実現は急務だといえるでしょう。人々のニーズに迅速・柔軟に応えられる基盤が、そのまま競争力の底上げにつながるはずです」(佐藤氏)
菊地氏と佐藤氏は、改めてスピーディな施策実行・運用・改善の繰り返しが、ビジネスの成功に必要であると強調。それを実現するためにBrazeが提供する次世代型支援の意図を語り、講演を締めくくった。