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小売業界が備えるべき“コロナ特需の終焉”──次の変化に対応できる「アジャイル型マーケティング」とは?

「Biz/Zine Day 2022 Autumn」レポート

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チャネル横断型の顧客体験を実現 わずか2週間で自社アプリのApp Store内評価が急上昇

 次に佐藤氏が紹介するのは、オーストラリアの大手カフェフランチャイズ企業The Coffee Club(ザ・コーヒークラブ)社の事例だ。世界9ヵ国で展開し、店舗数は約400、利用者数は年間4,000万人以上と大きな顧客基盤を持つにもかかわらず、同社はオンラインチャネルの活用に課題を感じていたため、BrazeのCRMプラットフォームを導入したという。

 ツール導入時、ザ・コーヒークラブ内の担当者は、CRMマネージャーとエンジニアの2名のみ。データ集約機能を活用して、チャネル横断で一貫性のあるコミュニケーションの実現と、ユーザーロイヤリティ向上を目指すプロジェクトを開始した。

 具体的な施策の1つ目として、ロイヤル会員の特定のセグメントに、POSシステムと連動したバーコード付きクーポンを配信。これにより、ロイヤル会員からの売上が35%向上したほか、有料VIPプログラムへのコンバージョン数にも62%の増加が見られたという。

 そして2つ目の施策は、App Storeにおける自社アプリの評価を短期間で急上昇させた、顧客へのレビュー投稿を促すメッセージの配信だ。

 具体的には、アプリを高頻度で利用するユーザー=「アプリを気に入っていると想定されるユーザー」をセグメント化し、そのユーザーのアプリ内クーポンがスキャンされたタイミング=「そのユーザーが割引購入を体験して、気分が高揚しているであろうタイミング」を見定めて一人ひとりにメッセージを配信し、高評価を収集するという取り組みを行った。

 一度この施策を試した後は、チャネル横断でどのようなアプローチが最も効果的かを検証し、施策の改善を繰り返し行ったという。

 そして最終的には、アプリ内メッセージでレビューのオファーをした後、レスポンスがなかった顧客に対してのみ、今度はメールで再度オファーを出すという手法を実践することにした。チャネルを変えることで、ユーザーにしつこい印象を与えない工夫を凝らしたのである。結果、レビュー回答率は大幅に向上し、最終的にはApp Store内での評価を2.4から4.1まで押し上げることに成功した。

[画像クリックで拡大表示]

 この取り組みにかかった期間は、Braze側でのメッセージ配信設定にかかった数日と、実行から成果創出までの2週間のみだという。リアル店舗とデジタルを行き来するような顧客体験の提供は難易度が高いが、既存のシステムやアセットと上手く連携することで、素早い施策を打ち出せたと佐藤氏は語る。

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迅速・柔軟・低コストを兼ね備える「アジャイル型マーケティング」実現の基盤とは?

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この記事の著者

フェリックス清香(フェリックスサヤカ)

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