クアルトリクスは、悪いカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)による損失額について調査したグローバルの年次調査「悪い体験後に起こること:2022年版」と、生活費高騰の中で消費者が顧客体験に求める調査の結果を発表した。同調査は、クアルトリクスの調査機関であるXM 研究所(XM Institute)が行っている。
調査結果によると、質の悪いカスタマーエクスペリエンスによって、日本での消費者との商取引収益の3.3%にあたる約890億米ドル(2022年12月7日時点で約12兆2,450億円)が、損失するリスクであることが明らかになったという。
また、消費者が「過去90日間の中で非常に悪い顧客体験をした割合」は7%と、諸外国と比較して低いものの、およそ半分(47%)が悪い体験の発生後にそのブランドへの支出を減らすか、支出を完全に止めると回答したとしている。
一方、昨今の生活費高騰という状況下において、消費者が顧客体験に求める内容について日本在住者を対象に調査したところ、「出費すべきものの優先順位を見直した」との回答が53%と、半数を超える結果となった。
こうした中、特定のブランドから製品やサービスを購入する決め手となる要因については、「値段」(31.4%)、「品質」(26%)、「商品購入の手軽さ」(19%)が上位に来るものの、一方で「カスタマーサービス」(3.8%)、「多様な支払いオプション」(4.8%)、「返品ポリシー」(2.3%)など、購入検討から購入後までにわたる顧客体験が決め手になるという意見も一定する見られたという。一連の顧客体験を通じてロイヤルティを高め、ファンとなった「同僚・友人の勧め」が決め手になるという意見も3.5%を占めている。
また、コロナ禍で多くの企業がオンライン上でのカスタマー・サービスの向上を目指す中、日本在住者の約6割が、オンライン上で受けたサービスの質について「変わっていない」と回答。「少し低下している」または「著しく低下している」との回答も13%と、オンライン上でのサービスが消費者の期待に沿うことができていない事態が浮き彫りになったとしている。
オンライン上での体験が期待に沿った場合に「より多く消費するか」「よりロイヤルティが向上するか」との質問に対しては、「少し同意する」「著しく同意する」と答えた割合が、それぞれ29%と40%となっている。この結果から、オンラインサービスの向上はロイヤルティの向上につながることが分かるという。よって、オンラインサービス向上の目標やKPIを、消費金額ではなくロイヤルティの向上に変更するなど、オンラインでの消費者ニーズを見定める必要があると、同調査は考察している。