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ビジネスアーキテクト養成講座 for DX

デジタルの“4つの特徴”から考える「DXの本質」──ビジネスアーキテクト養成講座 for DX

第1回:DXの本質・前編

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 ビジネスイノベーションハブの白井です。Biz/Zineにおいては過去、「ビジネスアーキテクト養成講座」「事業企画の現場で使うツールTips」「顧客のジョブから考えるイノベーション」といった長期連載を寄稿してきました。昨今、多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでおり、私の現在の仕事もDXに関連するもの(ウェビナー、ワークショップ、eラーニングコンテンツの制作など)が中心となってきております。ここ数年の仕事を通じて実感したのは、多くの企業がDXへの取り組みに関して暗中模索の状態にあるということです。今回の連載は、主なコンテンツとして「DXの本質」「DXの背景」「DXに対する準備作業」「主要なDX戦略の焦点」「主要なデジタルテクノロジー」「DX推進に必要なデジタル能力」などについて触れていく予定です。今回と次回は、DXの本質について考えていきましょう。

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DXの定義から考える「X:変革」の重要性

 最初に、DXの定義を再確認することから始めましょう。

 DXという言葉は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授(現インディアナ大学の副学部長)によって提唱された概念であり、「進化し続けるテクノロジーが人々の生活を豊かにしていく」というものです。

 2004年といえば、2001年のITバブル崩壊を起点として長く続いた「IT不況」を脱却した年であり、アップルのiPodが爆発的に売れ、グーグルが当時500億ドルという当時は天文学的とも言える資金を調達して株式公開をした年でもありました。

 その後、様々な組織がDXの定義を行ってきましたが、私が気に入っているDXの定義があります。それはスイスに拠点を置くビジネススクールIMDのマイケル・ウェイド教授が、2016年に提唱した「デジタルテクノロジーを活用したビジネスモデルを通じて組織を変革し、業績を改善すること」というものです。

 エリック・ストルターマン教授による定義が「マクロ経済レベル(社会経済レベル)」に近いものであるのに対し、マイケル・ウェイド教授による定義は「ミクロ経済レベル(個別企業レベル)」に近いものと捉えられます。もちろん、個別企業レベルによるDXの推進の集合体が、我々の生活を豊かにし、よりよい社会を実現してくれることは間違いありません。

図1:ミクロレベル(個別企業レベル)におけるDXの定義
図1:ミクロレベル(個別企業レベル)におけるDXの定義
クリックすると拡大します

 ちなみに、エリック・ストルターマン氏は2022年に、「社会、公共、民間の3つのレベルでDXを再定義」しました。

 一方、日本でも経済産業省が2019年に「DX推進指標とそのガイダンス」というレポートの中で、「DXを企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。ちなみに、このレポート公表をきっかけに日本ではDXというキーワード検索数が爆発的に伸び、現在に至っています。

 なお、デジタルトランスフォーメーションをDXと表記されるのは、英語では接頭語の「Trans」を「X」と書く慣習があるためです。例えば、トランザクション(取引)という言葉も「TX」と略して表記されることがあります。

 ところで、DXのD(デジタル)は手段であり、X(変革)は目的です。日本においては手段としてのD(デジタル)のみが強調されている傾向があります。デジタル時代と呼ばれる現代において、どのような企業を目指して変革していくかという目的(ビジョン)を明確にしなければ、DXは実現できないことは言うまでもありません。変革には大きなエネルギーを必要とし、社内外からの抵抗も大きいからです。

 「目指すべき山を決めずに歩くのは、さまように等しい」というソフトバンクの創業者である孫正義氏の言葉が有名ですが、DXに取り組む際に目的としてのビジョンがなければ、DX遭難者になってしまうでしょう。ビジョン(私はデジタルビジョンと呼んでいます)の策定に関しては、本連載の中盤当たりでもう少し言及していきます。

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この記事の著者

白井 和康(シライ カズヤス)

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