他者との対話による自社の再定義
このように、組織が断片化し無能化していくプロセスを見れば、イノベーションが生まれないのは個人の問題ではなく組織の構造的な問題だということがわかる。これを変えるために、宇田川氏は「対話」によってバラバラになった組織構造や認識をつなぎ直すことを提唱する。
対話とは何かを示すために、宇田川氏はセオドア・レビットによる1960年代の論文『マーケティング近視眼』に登場する鉄道会社の衰退についての話を紹介した。レビットは、アメリカで鉄道が自動車に負けた理由を、鉄道会社が自分たちの事業を「輸送事業」ではなく「鉄道事業」と捉えたせいだと主張している。