アイデアや技術などの資源に経済的価値を付与するには
イギリスの細菌学者、アレクサンダー・フレミングは、カビの一種で厄介者だったペニシリウムの培養液中に、世界初の抗生物質であるペニシリンを発見した。ドラッカーは彼を、イノベーションの立役者として紹介している。しかし宇田川氏は、ペニシリンに経済的な価値を与えたのはフレミングではなく製薬会社のファイザーだと指摘する。
フレミングはペニシリンを発見したものの、それを精製する方法がわからなかった。そこでアメリカの大学がその研究を引き取り、ファイザー社の援助による試行錯誤と同社の経営判断があって大量生産に成功し、戦時中にも多くの人命を救ったのだ。