日本電気(以下、NEC)は、カメラ映像を分析し人物の性別、服の色や形状など曖昧な外観属性情報から特定の人物を検索できる映像分析向けの「あいまい検索技術」を開発した。
同技術は、カメラに映っている人物の視覚的な特徴から、性別、上下それぞれの服や帽子、靴の色・形状、鞄などの持ち物の情報といった100以上の属性情報をAIによる推定の確信度とともに付与することが可能。特定人物の検索の際には、それぞれの検索条件について、記憶とAIによる推定、双方の曖昧さを考慮し総合的に合致するかを判定して検索結果を出力する同技術の活用により、対象人物を効率的に発見するという。
例えば、服装の色について記憶が誤っている場合や、光の加減によりAIによる推定が事実と異なる場合など、検索条件の一部に該当しないものがあっても、候補から排除することなく対象人物を見つけることが可能。顔画像を使用しなくても外観属性を推定できるため、カメラ映像から人物を検索するだけでなく、プライバシーにも配慮した運用により、商業施設における映像分析技術の導入に貢献するとしている。
また、NECが実施した実証では、人の往来が激しい14ヵ所のエリアを撮影し、1,000人以上が映る1時間程度のカメラ映像から、同技術を用いて平均2分で対象人物を発見できることを確認したという。
同社は、同技術を提供中の「NEC 映像分析基盤」にて2023年度中に実用化を予定。同技術を迷子捜索に加え、来場客の属性情報を分析するマーケティング領域などへの適用を進めていくとともに、アパレルなどのECサイトにおける検索体験の向上など、映像分析以外の領域への応用を検討するとしている。