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シン・鬼十則

起業家とイントレプレナーに求められる鬼十則的資質とは──アーキタイプ中嶋氏が語る「シン・鬼十則」

第3回 ゲスト:アーキタイプ 中嶋淳氏

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 昭和の時代に電通躍進の原動力となった「鬼十則」を、イノベーションの源泉となる「シン・鬼十則」として再発見する本連載。元電通マンで鬼十則を愛する蓮村俊彰氏が、令和の現代において「シン・鬼十則」的な活躍をしている方々に、その取り組みや考え方を伺っていきます。今回のゲストは、アーキタイプグループ株式会社 代表取締役の中嶋淳氏です。1989年に電通に新卒入社し、企業コミュニケーション立案業務の後、インターネットビジネスのスペシャリストとして100社以上のマーケティング・事業戦略立案などに従事。2000年に創業直後の株式会社インスパイアに合流し、2006年には、アーキタイプ株式会社(現アーキタイプグループ株式会社)を創業。IT領域のシード・スタートアップのインキュベーションとIT課題を持つ事業会社への戦略コンサルティング・社内新規事業支援を通じ、オープンイノベーションを先導しています。

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“電通業”を通じて鬼十則を体得

蓮村俊彰氏(以下、蓮村):中嶋さんは、平成元年(1989)に新卒で電通に入社されました。当時の電通は、広告代理業を本業としつつも、“電通業”として広告代理業の枠に収まらない、他にない多様でユニークな事業を生み出し手がける企業でした。まさにこの時代の電通の姿をご存知の中嶋さんに、鬼十則との関わりを伺っていきたいと思います。

中嶋淳氏(以下、中嶋):確かに、私が新卒の頃、電通の入社案内には「都市開発センター、コンベンション室」や「映像事業局」といった言葉が並び、広告業以外もやっている印象でした。

 私自身、広告の仕事をしたくて電通に入ったわけではなく、人と人、企業と企業、社会と人という関係性の中で、相互理解を深める仕事をしたいと考え、電通に入社しました。そのため、入社後も広告以外で企業のコミュニケーションを担っていたPR局を第一志望とし、無事配属となりました。当時PR局はかなり専門的な部署で採用枠も1名しかいない中、私以外に第一志望とする人がいなかったらしいです。ですが、実際配属されてみると、PR局は最初から大きな仕事を任せてもらえる部署でした。

 「大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。」ではありませんが、最初の3年間で、入社時からやってみたかった音楽ビジネス、都市開発、オリンピックの仕事に携わることができました。

 中でも鬼十則との大きな出会いとなったのが、長野オリンピックの招致活動です。当時の担当営業局長と一緒に、現地のステークホルダーと合意形成を図るために長野出張をしたことがあったのですが、同行中はあらゆる側面から説教をされ続けました。何度も「基本動作ができてない」と言われ、基本動作とは鬼十則であると教えられたのです。「ただ出張に付いてくるのではなく、上司もステークホルダーも含めたすべての“相手”をもてなすよう、先読みすることを意識し続けろ」と指摘されました。

蓮村:まさに「頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。」ですね。

中嶋:そうですね。これらはいまだに私の基本動作になっています。

 また、この頃には「自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。」を体現すべく、自信を持ってエキスパートだといえる領域を探すようになりました。

 そして、最初のウェブブラウザである「NCSA Mosaic」が誕生する1993年に、インターネットの存在を知ります。当時、企業が自由に情報発信をするためには、雑誌などの既存メディアでは誌面のスペースに限りがありました。そのためインターネットやウェブサイトには、無限の可能性を直感しました。インターネットが普及し始めた当時は、企業がウェブサイトを作っただけで日経産業新聞の一面になっていた時代です。インターネットを猛勉強しているうちに、ウェブサイト制作だけでなくホスティングやアクセス解析ツールの提供まで手がけるようになりました。業界唯一無二の存在となり専門性を活かした広告キャンペーンの競合コンペでは勝率95%に至るまでになりました。

 ちょうどその頃、米国でインターネット上でロイヤルティポイントプログラムを提供する企業の日本法人設立プロジェクトに参加しました。会社を作るプロセスとして投資を学ぶ中で、私がインターネットを始めた頃、米国Yahoo!本社から電通へ出資のお願いが来たことを思い出しました。デューデリジェンスの一環として、彼らの資金調達について調べるうちに、ベンチャーキャピタル(VC)の存在を知り、非常におもしろいと感じました。

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この記事の著者

皆本 類(ミナモト ルイ)

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