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「DX2.0」に必要な人材と組織

なぜ日本企業は“DX2.0”へと進めないのか? 失敗事例から学ぶ、最大のボトルネック「人材」の課題

第1回

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 DX人材の採用や育成に乗り出す企業が増えてきた。しかし、なかなか上手くいかずに悩む企業も少なくないはずだ。本記事では、企業のDX支援を数多く手掛けてきた私が、よくある失敗事例とともに原因を解説していく。

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終わりなきDX。当面の目指すべきゴールとは何か

 「DX」という言葉の知名度は、ここ数年で爆発的に高まった。一方、終わりのない取り組みを続ける中で「どこまで進めればゴールが見えてくるのか」といった“DX疲れ”に悩む企業も少なくないはずだ。

 私はこの「DXのゴールはどこにあるのか」問題に対しては、「ゴールがなく、延々と続けていくものである」という認識を持っている。DXはデジタル活用の面に焦点が当てられがちだが、本質はその先にあるトランスフォーメーション(変革)にあるからだ。

 私は、そうしたDXで当面目指すべきゴールを「デジタルツイン」だと考えている。現実世界と同様の環境をデジタル上に再現し、様々なデータを蓄積したり、シミュレーションを行ったりしながら将来の予測を可能にしていく。すると、国際的な紛争が起きた際やサプライチェーンにトラブルが生じた際、どうすべきかを事前に複数シナリオで想定しておくことができる。業務オペレーションのアップデートができるだけでなく、新たなビジネスモデルの創出にもつながっていくはずだ。

 DXを進めやすい企業は、金融系やIT系に多い。こうした業態は、そもそもデータを扱うことが多く、また数値でビジネスを捉えることも多いため、もともとDXに適した業態だといえるだろう。一方で、現物、現場が存在する流通業や製造業では、現場の勘やコツ、あるいは経験や気合・根性といった要素が重視されることもあり、なかなかDXとは縁遠いといえる。

DXを4象限に分解 「DX2.0」とは?

 改めてまとめると、DXとはデジタルの活用を通して、従来のバリューチェーンをオンライン化したり、新規事業を創出したりといった新たな価値を創出するための取り組みである。私はこうしたDXのあり方を「DX2.0」と定義している。

 次図のように、「アナログ/デジタル」と「既存事業/新事業」の4象限に分けた場合、DX2.0は右上の象限に該当する。日本企業では、まだ左側の象限でとどまっているケースも多く見られる。

[画像クリックで拡大表示]

 たとえば、コロナ禍でリモートワーク化が進んだことから、多くの企業が必要性に駆られて取り組んだペーパーレスなどは、あくまで従来のIT化の領域にとどまるものだ。4象限の中では左下に該当し、「DX1.0」と呼べる。「当社はDXを推進しています」と宣言しながら、実情はDX1.0にとどまっている企業も多いはずだ。

 もちろん、DX1.0の取り組みを進めること自体は悪くない。しかし昨今では、より先進的な企業ではDX2.0の状態に足を踏み入れ、新たな付加価値を生み出したり、競争力を高めたりしている。今までDXとは縁遠かった「現場主義」が強いような業種であっても、DX1.5やDX2.0へと歩を進められない企業は、これから生き残ることが難しいといえるだろう。

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この記事の著者

鬼頭 勇大(キトウ ユウダイ)

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