伝えたいことを直感的に伝える“3つのポイント”
では、どのように伝えれば、前提知識や見ているスコープ、判断軸の異なる相手に効率的、効果的に伝えることができるのだろうか。松塚氏は、それには3つのポイントがあると説明する。
1つ目は「キーメッセージ」である。「つまりは何を伝えたいのか」がしっかり固まっていることが必要である。
2つ目は「シナリオ」だ。伝えたいメッセージをどういう順番で、どういう物語で伝えると、相手により伝わるかを考えて組み立てることが重要である。
そして特に重要なのが、3つ目の「根拠やデータ」だ。たとえば新規事業について支援を希望する際、「今、プロジェクトでやっているサービスは規模が小さいが、いずれ大きくなる。他社でやっているところはなさそうだし、絶対に伸びる」とだけ伝えても、説得できない。データを根拠として出して初めて、相手は検討に値すると感じる。
さらに、そのデータをいかに可視化していくのかも非常に重要だ。その際のポイントは、解釈を相手に委ねるのではなくて、こちらから解釈を作って提供していくことだ。伝えたいことに合わせてデータの見せ方を工夫する、つまりはデータビジュアライゼーションを行う必要がある。
たとえば、「前年同時期と比べて売り上げが1.8倍に増えている」と説明するためにグラフを出したとしよう。上図左のPowerPointで作ったグラフでも、口頭で補足説明を伝えれば問題ないと思うかもしれない。しかし、思考・認知の経路で考えると、人はビジュアルに惹きつけられる。すると聞く人によっては「この濃い赤の部分は、なんだか少し減っているようだ。それはなぜだろう」など、本来自分が伝えたいことと違う部分に注目してしまい、議論が思ったように進まない可能性がある。
上図右のthink-cellで作ったグラフのように、注目してほしい部分や数字をわかりやすくナビゲートして解釈を付け加えることで、自分の伝えたいメッセージはスムーズに伝わるようになる。こういった形で説得することが、新規事業を作っていく時には特に重要になるのだ。