デザインを活用したワークショップで約200アイデアを抽出
デザインアプローチを取り入れたワークショップも大きな成果をもたらした。ワークショップは、今までの調査結果をもとに、既存ビジネスの課題や新規サービスのアイデアを出しあうことを目的に行われたが、役職や職務の隔てなく活発に意見が交わされ、大いに盛り上がりを見せた。その様子をフォーデジットの末成武大氏が振り返った。
「何人かの参加者にワークショップの感想を尋ねましたが、誰もが『本当に楽しかった』と答えてくれました。自由にコラボレーションしやすい環境を作り、活発な議論を促すというのは、デザイン思考の方法論のひとつですが、それが功を奏し、多くの参加者がワークショップを自分ごととして捉えて取り組んでくれたと思います。特に印象的だったのは、多くの参加者がペルソナの趣味趣向を、まるで自分の家族かのように感情移入しながら語っていたことです。インドネシアにも、協調性を重んじたり、上下関係を重視したりする文化があるようですが、ワークショップでは過剰に遠慮することなく、フラットに意見を発信できる空間を作れたと感じています」(末成氏)
この末成氏のコメントはNTTデータインドネシアの山本氏の以下の発言に同調したもので、「デザインのアプローチの有効性」に関するものだ。
「私もNTTデータインドネシアで社員の意見を吸い上げるような集会やディスカッションを何度か試みていますが、今回のワークショップほど盛り上がることはありませんでした。そのため、イオンモールインドネシアの従業員の皆さんがそれぞれの意見を自由に発信する姿には、非常に感銘を受けました。率直に言って『こんな方法があったんだ』と驚いています。今後、このワークショップでの経験を、ぜひ自社の取り組みにも取り入れたいと考えています」(山本氏)
インタビューや定量・定性調査、ワークショップを通じて、イオンモールインドネシアは194の課題とアイデアを抽出。現在、それらを出発点にさまざまな新規事業アイデアを検討している。さらに、フォーデジットのデザインケイパビリティを活用し、さまざまな調査から見出したペルソナやミッションをビジュアル化。取り組みの成果を直感的に理解できる形にアウトプットして、多くの人の間で共有できる環境を整備した。