多様なEXITの選択肢がオープンイノベーション実現に直結する
経団連の「スタートアップ躍進ビジョン」でも、「CVCによるスタートアップへの投資を成功させるためには、既存事業における投資の目的や判断基準にとらわれないことが重要である。過度に既存事業とのシナジーや協業にこだわることなく、当該スタートアップ自体の成長を目指すべきである。また、スタートアップ投資の減損を過度に恐れず正しく評価し、各事業部門がP/Lを気にせずスタートアップ投資を行える環境を整える必要がある」と記載されていますが、逆説的に、現状では、既存事業へ短期的に貢献する技術やソリューションを得るという考え方が主流であることがわかります。この考え方によって、「事業シナジーを生み出せていない」CVC投資の残高が日本中で積み重なってきているのではないかと私たちは考えています。
オープンイノベーションとは、「企業内部と外部のアイデアを結合し、新しい価値を生み出すこと」でした。そのためには、柔軟で機動的な中長期戦略の見直しにあわせて、保有するスタートアップ株式の見直しと再評価は避けられません。2010年代半ばから始まったCVC創設ブームから10年近く経つ現在、“上手な途中下車”を決断できるよう、平時から様々な選択肢を検討しておくことが、スタートアップ・事業会社双方に求められるのではないでしょうか。