電通デジタルはDITYと共同で、全社横断DXを成功に導く新たなアプローチとして、企業自らが主体的にDX方針を策定するための支援プログラム「DX ARROW」を開発し、本格提供を開始した。
日本企業のDXは、デジタル基点のビジネスの変革、組織開発やイノベーション文化醸成、全社データ利活用といった統合的/全社横断的なテーマに発展しているという。こうした状況に直面する中、企業では「全社横断プロジェクトをリードできる人材が限られ、関係者の意見もまとまらない」「外部パートナー支援を受けたが、十分理解ができないまま進んでしまい、結果、具体的な変革につながらない」といった共通の課題を抱えているという。
このような課題に対し電通デジタルは、支援会社が主体となって調査や分析、アウトプットの作成を行うのではなく、企業自らが主体となって戦略論点に向き合い、議論を通して戦略を定め、納得感をもってプロジェクトを推進していくことが、全社横断DX成功の要諦であると述べている。これを実現させるため、ワークショップとファシリテーションを中心に構成された支援プログラム「DX ARROW」を提供するとしている。
DX ARROWは、DITYが提供する戦略構築サービスのフレームワークを基にしており、全社DXやデジタル新事業の開発などがミッションである経営層/事業責任者といったコアメンバーを対象に、電通デジタルおよびDITYメンバーのファシリテーションにより議論をガイドし、その後の継続的な集中討議へのサポートも含め、事業に直結するDX方針を策定するという。また、議論を進めるにあたっては、予め戦略テーマと検討すべき論点をまとめた「戦略議論用コンテンツ」を複数用意し、その中からそれぞれの企業の課題にフィットしたテーマを選択・活用することで、効果的かつ効率的な議論を実現すると述べている。
「DX ARROW」サービスの流れ
1. 議論テーマの選定
DX推進上の課題を踏まえ、戦略テーマと論点を定めた「戦略議論用コンテンツ」群から最適なテーマを選定。テーマは課題によって複数選定することも可能。
「戦略議論用コンテンツ」の例
- ビリーフ(信念)の擦り合わせ:未来に対する予測や満たされていないニーズの存在、難題に対する解決策の仮説など、各社が戦略構築の前提として「信じていること」を言語化し、キーパーソン間で擦り合わせる
- 価値の方向性:ユーザー価値の打ち出し方に、「利便性」「お得さ」「ワクワク感」など3組のトレードオフに沿った6方向のオプションがあることを踏まえ、その事業が目指す方向性を見極めて顧客価値を明確にする
- 強みを活かした新規事業:大企業がその強みを活かして新規事業創出に成功するための型(パターン)を整理し、「手元から宝を発掘」や「顧客接点で常識を破る」など、各パターンの特徴に沿った事業アイデアを出すためのブレインストーミングを行う
- データドリブン革命への道:データドリブン革命(DDR)を起こした4つの事例を参照しながら、DDRに向けて進むべきステップと、そこで求めるべきデータについて考える
- KPI体系の見直し:事業を磨き上げていくためのツールとしてKPIが満たすべき条件について共通認識を持ち、それを共通の切り口として既存のKPIを評価して優先順位を付け、足りない視点を補完する
- プラットフォームのコア取引:プラットフォームの核となり、ビジネスモデルの設計において最初に磨き上げるべき「コア取引(消費者と生産者の間で行われる核となる価値交換の行動)」の本質を理解した上で、サービス開始時に注力すべきコア取引を言語化
2. ワークショップの実施
経営層/事業責任者を中心としたDX推進のコアメンバーを集め、「戦略論点用コンテンツ」を活用し1時間~1時間半の集中討議を行う。
3. 継続議論
ワークショップでの集中討議後は、電通デジタルおよびDITYメンバーのサポートのもと、オンライン会議やチャットツールを用い、コアメンバーのそれぞれの時間を活用し議論を継続する。
4. 戦略方針のアウトプット
議論結果として、事業運営に直結する方針を数ページ程度のアウトプットにまとめる。なお、DX ARROWによって策定したDX戦略をもとに、その後の企画/開発、実行まで一気通貫での支援も行う。