トップが先陣を切って変革に取り組む
そうした危機的な状況が顕在化した2020年4月、長谷川社長の指示を受け、奥田氏は20人の特別チームを編成し、変革案の策定に着手した。わずか3か月でまとめられたこの指針は後に、同年10月の「JR西日本グループデジタル戦略」のベースとなった。さらに11月には、デジタルソリューション本部が専任組織として立ち上がった。社長の長谷川氏が本部長を務め、奥田氏が副本部長に就任することで、トップが変革の先頭に立つかたちとなった。
変革の指針は主に3つだった。まず、これまでヒトの経験に頼っていた部分を、データとテクノロジーを活用して誰でも容易に取り扱えるよう標準化することで鉄道事業の効率化を進める。次に、事業部門ごとではなく、顧客視点で捉えなおし、グループ各社のサービスをシームレスにつなぐ。最後に、無駄を排除し、コミュニケーションを重視する会社文化の構築を目指す。