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JR西日本の成功事例に学ぶ、DXでの組織変革──データに基づきヒトが意思決定する行動様式とは?

GiXoデータインフォームド・サミット レポート・前編

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 AIやビッグデータを活用した新しい取り組みが注目される昨今だが、実際のビジネス現場で活用するには様々な課題がある。テクノロジーと組織の融合を目指し、データに基づく合理的な意思決定を行う「データインフォームド」の実践がカギを握るという。2024年4月23日に東京ミッドタウンにて開催された「GiXoデータインフォームド・サミット」では、組織運営をデータインフォームドに行うための変化の生み出し方、あるいはデータインフォームドな事業の実践例などを紹介し、議論しあった。今回は、前後編にわたってその様子をレポートする。

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データインフォームドという行動様式が組織を変える起点になる

 「データインフォームド」とは、データに基づいて判断を行う「データインフォームド・ディシジョン・メイキング」の略称だ。

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 イベントに先立って挨拶を行った網野知博氏(株式会社ギックス 代表取締役CEO)は「データインフォームドは行動様式そのものを指すキーワード」と語る。データ分析結果を参考にしつつ、最終的には人間が判断するという考え方である。勘や経験、度胸といった要素を否定するのではなく、むしろそれらにデータを加えて合理性を高めることが重要だという。

網野知博
株式会社ギックス 代表取締役CEO 網野知博氏

 経営層から現場スタッフまで、全員がデータを活用して質の高い意思決定を下せば、ビジネスの勝率は必ず上がるはずだ。しかし一方で、データ分析には手間がかかるため「勘と経験で事足りる」と考える向きもある。確かに瞬時の判断が求められる場面は少なくない。だが、質の高いデータが手軽に利用できる環境があれば、より賢明な選択肢が見えてくるに違いない。

 ギックスは「あらゆる判断を、Data-Informedに。」をパーパスに掲げる。目指すのは、誰もがデータを活用しながら合理的に判断を下せるデータインフォームドな社会だ。

 網野氏は具体例として、ギックスがトヨタモビリティパーツと共同開発した「AI整備見積もりシステム」を挙げた。AIが80項目の整備内容の必要性を推奨度としてそれぞれ算出し、メカニックに情報を提供する。それをベースに、最終的な判断は人間が下す。メカニック不足への対策としても期待が高い。

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 また、ギックスではデータ分析後の実行までをカバーするためのUIツール「マイグル」も展開している。個々のユーザーに合わせたスタンプラリーやミッションを設計することが可能だ。同サミットの多くの登壇企業がこのサービスを活用し、さまざまなソリューションを生み出している。

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コロナ禍で巨額の赤字に見舞われ、変革に踏み切る

 網野氏に続き、奥田英雄氏(西日本旅客鉄道株式会社 取締役兼執行役員 デジタルソリューション本部長)が登壇し基調講演を行った。

奥田英雄
西日本旅客鉄道株式会社 取締役兼執行役員 デジタルソリューション本部長 奥田英雄氏

 JR西日本グループは1987年の国鉄分割民営化によって誕生して以降、2019年に至るまで成長を続けてきた。在来線のシェア拡大、九州新幹線の相互直通運転や北陸新幹線などの路線拡大、大阪ステーションシティなどの街づくりにも取り組み、業績も右肩上がりだった。

 一方で、人口減からくる慢性的な人材不足に悩まされていたほか、円安が進んだことで燃料の価格が上がり、コストが膨らんでいた。次第に環境が厳しくなるにもかかわらず、総じて業績が好調なときには課題に向き合えなかった、と言う奥田氏はその様子を、いわゆる「ゆでガエル」状態だったと振り返る。

 そんな中、2020年のコロナ禍到来により社内にも危機意識が生まれる。新幹線や近畿圏の鉄道利用が激減し、同社は2020年には2,455億円、2021年には1,190億円の赤字を計上した。

 JR西日本グループは多角化に長年取り組んできたが、展開先は駅ナカの商業施設や駅周辺の宿泊施設など、いずれも鉄道利用に付随するサービスだったと奥田氏は指摘する。鉄道利用者自体が減少すれば、当然、これらの事業の収益も悪化する。

 では、JR西日本グループはどのようにこの難局に立ち向かったのか。社長の命を受けたのが、今回登壇した奥田氏であり、以降、その詳細が語られた。

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雨宮 進(アメミヤ ススム)

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