現場にとって“不要なデジタル施策”を避けるために必要なこと
──なるほど。地域密着を大切にされているアークスさんに、地元経済の担い手としての期待も込めてのアプローチだったんですね。具体的には、ホームページの課題としてどのようなものがありましたか?
古江:そうですね。2021年当時、アークスさんのホームページはモバイル対応をされていませんでした。また、過去10年の間にいくつもの会社が傘下に入り、そのたびに必要最低限の修正をほどこされてきた結果、各社がバラバラに運営や情報発信をする状態で、セキュリティやユーザビリティの面でも課題が見受けられました。そこで、中村さんに問題提起をさせていただいたんです。
──提案を受けて、中村さんがホームページ刷新のプロジェクトを主導されることになったのですか?
中村:最初は、ホームページは私の担当外でした。ただ、私にはRARAカードのポイント残高の確認や決済をスマホアプリでできるようにするというミッションがありました。そこからデジタルマーケティングを進めていこうとすると、やはりホームページの課題が気になるんですよね。そのような経緯もあり、私がやることになりました。
──なるほど。
中村:その後、グループ各社のホームページがどういう状態で、それぞれにどういうニーズがあるのか、まずはゴンドラさんに調査をお願いしたんです。その結果をもとに我々とゴンドラさんでグループとしてのホームページのあるべき形を検討し、RFP(提案依頼書)の形にまとめるところまでをやってもらいました。
それを広告代理店なども含むベンダー数社に渡して提案依頼をしたのですが、やはりゴンドラさんが我々の課題を一番よく理解して的確なプレゼンをしてくださいました。しっかり伴走しますとおっしゃっていただいたので、ゴンドラさんに決めさせていただいたという経緯です。
スーパー各社の担当者によるタイムリーな情報発信が可能に
──どのような提案だったのですか?
古江:課題の洗い出しのために、最初に札幌の店舗を見に行ったんですよ。コロナ禍のピークの頃でしたが、とても賑わっていたのを覚えています。どの時間帯に行っても、35歳から44歳くらいの主婦層の方々が中心でした。
それからホームページのアクセス状況を調べますと、スマートフォンからのアクセスが7〜8割を占めています。それなのに各社のサイトがスマホ非対応でした。チラシ情報のページにはアクセスがあるのですが、その他の有益なコンテンツには目を向けられていないということも分かりました。
また、各事業会社11社を対象にアンケートとヒアリングを行い、サイト更新の頻度や運用管理が現場にいる人の能力や人数によって影響されていることも分かりました。そのため、ユーザーへの情報提供が最適なタイミングでなされていない可能性が高いのではないかと感じました。
中村:ゴンドラさんのご提案には3つの要素があり、それが決め手になりました。1つ目は誰にとっても使いやすいデザイン、導線設計をしましょうということ、2つ目は各社の社員がコンテンツを簡単に更新、追加できるシステムを整備し、鮮度の高い情報をユーザーに届けられるようにしましょう、ということです。そして3つ目がスマートフォンで見やすくしましょうということでした。