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競争優位性を構築する組織カルチャー変革

ルールを経糸、マインドを緯糸に織り上げる組織文化──自分ゴト化で目指す真のインクルージョン

ゲスト:東レ経営研究所 髙林和明氏(後編)

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「あなたも弱者になる」が真のインクルージョンにつながる

宮森:多様な文化を理解し行動に移せるリーダーを増やしたいとの考えから、経営リーダー研修をされているということですね。

髙林:そうですね。研修では宮森さんのCQのお話を受けて、心理的安全性、アンコンシャス・バイアス、アンガー・マネジメントなど全部やりました。こういうことを知っておかないと上には立てないということに、みんな気づいたと思います。ですが、それを自分ゴトとして、たとえば摩擦が起きても変えるべきことを変えるという覚悟はまだ弱いように思います。

宮森:それはなぜでしょうか。

髙林:権力格差が強い文化が根強く、どうしてもその文化に染まった人が上に行きがちだからだと思います。

 私は、そういう人たちに「弱者を切り捨てるようなことをしてはいけません」と伝えたいんです。たとえば身体障害のある人や、働く時間に制約のある人がいたときに、その人たちも楽しく仕事ができるようにする。そうしなければ、これからの世の中で会社運営はできません。そのくらい、社会は大きく変わっていくと考えています。

 明日の業績しか見ていない人には、その変化がわかりません。今まで通り“できの良い”人材だけを揃えておけば会社はうまく回ると思っているのでしょう。そういう人たちには「あなたたちは65歳で定年できないかもしれないよ。70歳や75歳まで働くんだよ」と言うんです。「あなた自身が弱者の側になるよ」と。それでも働ける会社にするのが真のインクルージョンであり、長期視点で考えることの本当の意味ではないでしょうか。

宮森:弱者の立場を自分ゴトとして考えるということですね。

髙林:私自身も気をつけなければならないと思っています。たとえば、朝の山手線の自動改札機に杖をついたおばあちゃんがいると、その列だけすごく長くなったりしますよね。そういうときにイライラしてはいけないと自分に言い聞かせています。

宮森:日本ではイライラしている人が多いですよね。子ども連れで電車に乗ると嫌な顔をされたりもします。

髙林:ありますね。

宮森:それは日本が「達成思考」が強いことや、「不確実性の回避」が高いことから来ているのだと思います。朝は早く会社に着くことがゴールなのに、それを妨げる人がいる。自分とは違う相手、理解できない相手を排除したいという意識が働くのでしょう。

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組織文化を変えるための“経糸”と“緯糸”

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やつづかえり(ヤツヅカエリ)

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